24日にバルセロナ・オープン・バンコ・サバデル(スペイン/バルセロナ、レッドクレー、ATP500)の決勝戦で、第2シードの
錦織圭を6-4, 7-5のストレートで下して今季2勝目を飾った第1シードの
R・ナダル(スペイン)が、優勝から一夜明けた25日にフランスの元スポーツ大臣へ訴訟を起こしたことが明らかになった。
フランスの健康・スポーツ省であるR・バシェロ元大臣は、先月に出演したテレビ番組でナダルがドーピングをしていると非難する発言をしていた。ナダルは、アスリートとしての品位やイメージを傷付けられたとして、顧問弁護士を通じて名誉毀損とする訴えをパリの裁判所へ提出した。
バシェロ元大臣はフランスのテレビ番組である「ル・グラン8」に出演した際、2012年にナダルが怪我によって約7カ月のツアー離脱をしたのは「ドーピング検査で陽性反応が出たから」だと話した。
「今回の訴訟は、アスリートとしての品位やイメージを守るだけではなく、これまでの人生で成し得てきた数々の功績への価値を守るためでもある。また同時に、メディアを通して何の証拠や根拠も無しにアスリートに対して侮辱したり、そんな行為を罰せられないことも避けたいと願っている。」と声明でナダルは語った。
ナダルが、もし今回の訴訟に勝ったら、裁判所から言い渡されるであろう賠償金は「全てNGOかフランスの基金へ寄付するつもりである。」とも話していた。
バシェロ元大臣の発言は、ナダルを弁護しようと多くのアスリートも怒りを露にしていた。それにはスペインのオリンピック委員であり、スペインの国会議員達もバシェロ元大臣を激しく批判した。
ナダルの叔父でコーチであるトニー・ナダルは、スペインのメディアを通してバシェロ元大臣を「全く愚か」だとした。
グランドスラムを14度優勝し、2008年の北京オリンピックで金メダルを獲得しているナダルは、スペインでも最も有名なアスリートの1人。
スペインのオリンピック委員会のA・ブランコ会長は、バシェロ元大臣のその発言を受けて出された声明の中で、今年のリオ・オリンピックの開会式ではナダルが旗手として国旗を掲げて欲しいとする想いも明かした。
ブランコ会長は「(ナダルは)お手本となる人物」であり、ナダルは旗手として相応しいと語った。ナダルは2012年のロンドン・オリンピックの時に旗手として選ばれていたが怪我のために欠場を強いられ、その役目を果たすことが出来なかった。
ナダルは今回の訴訟について「フランスの裁判システムを完全に信頼している。」とすると話し、これ以上今回の訴訟についてのコメントは出さないことも明かしている。
バシェロ元大臣の発言は、
M・シャラポワ(ロシア)のドーピング陽性反応に端を発していた。
(STATS - AP)
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