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(アメリカ、ニューヨーク州フラッシング)
「B・ベッカー(ドイツ)って誰?」もちろん往年の名テニスプレーヤー、ボリス・ベッカーのことではなく、3回戦でA・アガシ(アメリカ)が対戦する「B・ベッカー(ドイツ)」のことである。UAオープン大会公式ガイドにも殆ど情報は記載されていない。
謎の多い「B・ベッカー」の正体だが、名前はベンジャミン・ベッカー。ドイツ出身の25歳で、現在世界ランキングは112位。世界的には殆ど無名に近く今大会も予選から勝ち上がってきた。しかし侮ること無かれ、このベッカーという選手はアガシにとってもっとも危険な相手となる可能性がある。ベッカーはATPに登録されている選手の中でこの一年もっとも急速にランキングを上昇させたプレーヤーの一人で、1年前の世界ランキングは1400位。わずか12ヶ月足らずで実に1100位近くランキングを上昇させたことになる。そんなベッカーが今日まで無名だったのには理由がある。
R・ナダル(スペイン)やG・モンフィス(フランス)がそうだったように有望なジュニア選手であれば、そのままプロに転向するのが常識だが、ベッカーはジュニア時代これといった実績を残すことが出来ず、プロではなく大学進学を選択した(専攻はファイナンス)。しかしその選択がベッカーにとっては正しかった。学業とテニスを両立させながら、ベッカーは徐々に隠れていたテニスの才能を開花させていったのだ。そして2004年、ベッカーは全米大学チャンピオンに輝いた。
世界中が注目する中、当のベッカーは、「夢がかなったって感じさ。僕は彼(アガシ)を見て育ったんだ。彼は僕のアイドルで、今回対戦できることは、僕にとって凄いチャンスなんだ。ただ大学時代に200人くらいの前でプレーしたことはあるけれど、さすがに20000人の前でプレーするのは初めてだから、どんな感じになるのか想像もつかないよ。」と屈託がない。
ベッカーのコーチを務めるベナビレス氏は、「これはシンデレラ・ストーリーなんだよ。彼(ベッカー)は誰からも注目されること無く、ついこの前まではフューチャー・レベルの試合に出れるかどうかってところにいたのに、今は100位内に入れるところまで来た。彼のような選手はテニス界にはなかなかいないと思うよ。彼はしっかりとテニスと学業を両立させ、社会の現実というのを実際に経験してきたんだ。精神的にも成熟していて大人なんだ。」とベッカーについて話す。
25歳の新人が、英雄アガシにどんな戦いを挑むのか注目が集まる。
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