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クレイステルスの棄権により、モレスモが決勝進出に |
画像提供:Getty/AFLO |
(オーストラリア、メルボルン)
全豪オープン大会11日目、女子準決勝第2試合で、第2シードのK・クレイステルス(ベルギー)と第3シードのA・モレスモ(フランス)が対戦した。試合は序盤から激しいストロークの応酬となったが、モレスモの5-7, 6-2, 3-2となったところで、クレイステルスが右足首を捻挫し途中棄権となったため、モレスモの7年ぶりの四大大会決勝進出が決まった。
第1セット、序盤から両者エンジン全開で激しいストロークの応酬が繰り広げられる。一進一退の攻防が続く中、最初にチャンスを掴んだのはモレスモ。第11ゲームでブレイクポイントを握りクレイステルスを追い詰めるが、後一本を奪うことが出来ず絶好のチャンスを逃すと、続く第12ゲームでは逆に自らのダブルフォルトでブレイクされ、そのまま5-7で第1セットを奪われてしまう。
第2セットに入ると、それまでの迷いが消えたのか、逆に伸びのあるストロークとアングルショットなど怒涛の攻めでクレイステルスを圧倒する。結局このセットはモレスモが6-2で奪い返し、試合は最終セットへ突入する。
そして迎えた第3セット、モレスモが早々に2-0とリードするものの、クレイステルスも負けじと挽回し2-2のタイに。両者一歩も譲らず緊迫した展開が続く。そして迎えた第5ゲーム(クレイステルスのサービス)、クレイステルスが40-0とリードするが、モレスモが怒涛の4連続ポイントでブレイクポイントを掴んだところで、悲劇が訪れてしまう。モレスモのリターンに反応したクレイステルスが体勢を崩し、右足首を捻ってしまったのだ。一瞬にして会場は嫌なムードに包まれる。結局そのままサービスゲームを落としたクレイステルスは、チェンジコートの際に足首に入念なテーピングを施し、再びコートに戻ってプレーを試みるものの、試合続行は不可能と判断し棄権を申し入れた。
その時のことを振り返り、クレイステルスは次のように語っている。「フォアに回り込んで打とうと、バックハンドサイドに走っていったときに捻ってしまったみたいね。すぐに鋭い痛みが走って試合続行は厳しいと感じたわ。でも、条件はどの選手にとっても同じ。コートについてとやかく文句を言うつもりはないわ。皆、この同じサーフェスで戦っているわけだし、コートが(怪我に)関係しているとは思わないわ。」
この試合は歴史的な好ゲームだっただけに、なんとも後味の悪い結末となってしまったことが悔やまれる。クレイステルス自身、試合後のインタビューで、「とても集中して、良い感じでプレーできていただけに、こういう結果になってしまいとても悔しい。」と落胆していた。また、勝利したモレスモ、「とても良い試合だっただけに、不完全燃焼になってしまい残念。ただ、時にこういうことも起き得るということ。今は彼女が一日も早く回復することを祈るだけ。」とコメントしていた。続けて、「(決勝に進めて)良い気分よ。この数年間、一生懸命トレーニングしてきたし、この大会に向けて調整を行ってきた。でも、まだ決勝に進んだだけ。ここで止まるつもりは無いし、次の試合でも100パーセントの力を出して、トロフィーを手にしたいと思っているわ。」と語り、決勝に向けての抱負を語った。
1999年にM・ヒンギス(スイス)に敗れて以来二度目となる全豪オープン決勝進出を果たしたモレスモの次の相手は、今大会第8シードのJ・エナン=アルデンヌ(ベルギー)。エナン=アルデンヌは、準決勝で第4シードのM・シャラポワ(ロシア)を4-6, 6-1, 6-4で下しての決勝進出。激戦を制したエナン=アルデンヌは、「素晴らしい試合だった。今日の勝因は、体力的にも精神的にも強くあれたこと。マリアも、私が知る中で最高のプレーをしていたと思う。とにかく良い試合だったわ。」と笑顔で語っていた。
惜しくも昨年に続き、準決勝敗退となったシャラポワだが、それほどガッカリはしていないようだ。「肩の怪我の調子も良くなってきて、ここまで勝ってこれたことを素直に嬉しく思っているわ。(大会前に)殆ど試合をこなさずいきなり出場したにもかかわらず、今日のようなプレーが出来たことは、私にとって大きな収穫だと思っているの。明日の新聞の見出しは『マリア、またしても準決勝の壁を敗れず』となるのかも知れないけれど、そんなことは気にせず、今日の試合のことだけを心に留めておくようにするわ。」と、語っていた。
(2006年1月26日)