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ストザーを振り切り、ベスト8入りを決めたヒンギス |
画像提供:Getty/AFLO |
(オーストラリア、メルボルン)
全豪オープン大会8日目のナイトセッションに、今大会3度の優勝と準優勝を誇るM・ヒンギス(スイス)が登場し、地元出身のS・ストザー(オーストラリア)と対戦した。序盤はヒンギスのペースで進み、第2セットはストザーが反撃に転じ流れを手中に収めたように見えたものの、もうあと1ポイントいうところでヒンギスが振り切って6-1, 7-6(8)で勝利し、辛くも準々決勝進出を決めた。
元全豪オープン女王と地元オーストラリア勢唯一の勝ち残り選手という対決に、観客の興奮は試合開始前から最高潮に達していた。その熱気が重くのしかかる中、先にリズムを掴んだのはヒンギスで、次々とポイントを重ねて相手を全く寄せ付けない。ストザーも応援を力に変えたいところだったが、ショットがほんの数センチアウトするなど、硬さが見られ第1セットは良いところ無く、わずか23分で終了した。
第1セットに関して、ヒンギスは「私も彼女(ストザー)も出だしは少し緊張していたわね。でも、今日は序盤から気を締めて行かなければいけないと思っていたし、彼女(ストザー)にゲームの流れを渡してはいけないと思っていた。我ながら良いスタートが切れたと思うわ。」と語っていた。
しかし、第2セットに入ると状況は一変。ストザーのフォアハンドショットが厳しいところに決まり始め、振り回されるヒンギスは徐々に体力を消耗していく。第3ゲームからは激しいブレーク合戦となり、まさに一進一退の接戦となった。6-5で迎えた第12ゲームでヒンギスにサービング・フォー・ザ・マッチが訪れるが、ストザーが執念の粘りを見せてタイブレイクに持ち込むと、その勢いで5-2と先行するが、ヒンギスは落ち着きを失わずに逆転に成功し、遂にマッチポイントを握った。それから何度もヒンギスのマッチポイントを凌ぐストザーだったが、それが精一杯でなかなかリードを奪うことが出来ない。一方のヒンギスも自ら決定打を打てず手こずるが、最後はストザーのショットがネットにかかり、熱戦に終止符が打たれた。第2セットは69分という大接戦となり、敗れたストザーにも大きな拍手が送られた。
この結果、ヒンギスは準々決勝で、第15シードのF・スキアボーネ(イタリア)を7-6(5), 6-4で下した第2シードのK・クレイステルス(ベルギー)と対戦することになった。両者はヒンギスの引退前に5度対戦しており、対戦成績はヒンギスの4勝1敗。
今大会、怪我を抱えて試合に臨んでいるクレイステルスは、今日の試合でもスキアボーネの強力なストロークに耐えての苦しみながらの勝利だった。試合後のインタビューで、怪我について質問されたクレイステルスは、「出場できるかどうか危ない状況だった。先週は、これまでの人生で一番治療を受けていたと思うわ。そのおかげで今コートに立てているわ。」と答えた。今日の試合では、4本のダブルフォールトと43本のエラーを犯したが、それについては、「練習するよりも身体を休めることのほうが先決ね。」とコメントし、一刻も早く怪我を治したいと語った。
その他、女子の試合では第7シードのP・シュニーダー(スイス)が第12シードのA・ミスキナ(ロシア)を6-2, 6-1で下して、3年連続のベスト8進出を決めた。これでシュニーダー、ペトロワ以外でベスト8に進出した選手には、L・ダベンポート(アメリカ)、J・エナン=アルデンヌ(ベルギー)、M・シャラポワ(ロシア)、A・モレスモ(フランス)、クレイステルス、ヒンギスと、世界1位に君臨したことのある6人が名を連ねることとなった。
また、ダブルスには杉山 愛(日本)/D・ハンチュコバ(スロバキア)組が登場し、M・キリレンコ(ロシア)/G・ドゥルコ(アルゼンチン)組と準々決勝を戦ったが、1-6, 1-6のストレートで敗れた。
男子の試合では、第5シードのN・ダビデンコ(ロシア)が第12シードのD・フルバティ(スロバキア)に対し、2セットダウンから逆転に成功し、4-6, 4-6, 6-4, 6-2, 6-3で辛くも勝利し、こちらも2年連続のベスト8進出を決めている。また、フランス勢同士の対決となった第25シードのS・グロージャン(フランス)対P・H・マチュー(フランス)の試合は、グロージャンが7-5, 6-2, 6-2でストレート勝ちを収めている。
また、今日から始まったジュニアの部では、日本から女子1人、男子5人が登場した。女子では、第4シードの森田 あゆみ(日本)がM・ウーディンに6-3, 6-7(4), 7-5でフルセットの末に勝利し、2回戦に駒を進めた。男子では、第11シードの会田翔が6-1, 6-4でD・シモンに、第15シードの錦織圭が6-1, 6-0でP・M・プスカスに、杉田祐一がR・ベランキスに6-4, 6-1でそれぞれ勝利し、初戦を突破した。富田玄輝はA・スミルノフに6-2, 6-7(7), 6-2で、鵜沢周平はE・ボウシャーに5-7, 4-6と、接戦を演じながらも惜しくも僅差で敗れている。
(2006年1月23日)