男子テニスで世界ランク353位の
錦織圭は25日、ザ・キタノ・ホテル・ニューヨーク(THE KITANO HOTEL)で会見を行い、自身の現状や日本人男子選手の活躍などについて具体的に語った。
>>【画像】花束を受け取り笑顔を見せる錦織<<>>錦織、西岡、アルカラス、ジョコビッチら全米OP組み合わせ<<33歳の錦織は、6月のカリビアン・オープン(プエルトリコ/パルマスデルマル、ハード、ATPチャレンジャー)で約1年8ヵ月ぶりに復帰し優勝した後、チャレンジャー2大会に出場。
そして先月のアトランタ・オープン(アメリカ/アトランタ、ハード、ATP250)でツアー大会に復帰するとベスト8進出を果たした。しかしこの大会で左ひざを負傷し、その後出場を予定していた3大会の欠場を余儀なくされた。
錦織は28日に開幕するテニスの全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)男子シングルスにプロテクトランキング(負傷などによる長期離脱選手の救済措置)を利用して出場を予定しているが、今回行われた会見で同大会の出場については未定であることを明かした。
さらに会見では自身の現状や、現在の日本人男子選手の活躍についても言及した。
【会見全文】
Q. 全米オープンに向けて現状は。
「最初に言っておくとあまり膝がまだ良くなくて、一応来たのは来たんですけど、出られるかどうかはまだ定かではないというところが正直な状態です」
「この1週間で急速に結構治り始めてはいますし、コートで打ち始めてはいるんですけど、今(負傷してから)4週間経って、最初の2,3週ぐらいは全然治らなくて。思ったより画像上で見ても明らかにこれだなというのがあります。それがそこまで大きな怪我ではないんですけど、炎症が治まるのがいつかなというのを自分でも待っている状態です」
「なので正直、ちょっと(全米オープンの出場は)フィフティフィフティではあるかなと思います。でもやっぱりグランドスラムなのでかける思いはとてもあります。なのでちょっと痛みがあってもきたんですけど、この何日か調整して出場するか決める感じです」
Q. 復帰後の手応えについてどう感じているか。
「その面でいうと結構満足はしてます。もちろん最初のチャレンジャーで優勝して、その後ちょっと手こずったり、まだ復帰戦だなというのはその次の2大会で肌で感じました」
「でもアトランタでは、やっぱりジョーダン(・トンプソン)に勝てたというのはものすごい自信になりました。プレー内容も良かったですし、その後のシャン(・ジュンチェン)との戦いも結構前に出たり、自分のプレーが思い切り出来たのでプレー内容的には結構満足はしてます」
「多分どの復帰の大会よりも早い段階で満足はできているので、そういった意味では今までにない経験ができているなというのは感じています」
「ジョーダン戦で結構ひざが痛くて、その次の試合もやろうか迷っていたんですけど、痛い中でやってしまって、それで勝っちゃうので、それが悪くなった原因でもあります。辞めればよかったなというのを今では思いますけど、内容的には結構満足はしてます」
Q. 今回の全米オープンに出場する場合、ファンにどんなプレーをみせたいか。
「何十年もこの質問はされてますけど... 毎回ひねり出すんですけど、あんまりどういうプレーをみせたいかというのは、未だに答えがわかっていなくて」
「自分らしいプレーをみせるというか、勝つために僕も試合をするので、それが結果お客さんに楽しんでもらえたら嬉しいなというところが本音です」
Q. 現在の日本男子の活躍をどう見ているか。
「もの凄いことだと思います。特に西岡君(
西岡良仁)に関してはトップ30,トップ40に常にいる選手になってきているので。思ったよりも世間的に騒がれているのかどうか分かりませんけれど、かなり凄いことかなと個人的には思っています。やっぱりどの相手にも対応できますし、この何ヵ月こそもしかしたら勝っていないかもしれないですけど、たぶん誰とでも対峙できるレベルの選手にはなっていると思うので」
「あと綿貫選手(
綿貫陽介)もすごい力がついてきたなと。簡単なミスも減ってきたし、攻撃力もあるし、結構爆発力のある選手だと思うので、ツアーで優勝したりっていうのも時間の問題かなと」
「慎太郎(
望月慎太郎)は小さい頃からIMGで一緒に見ていますが、活躍してほしい選手ではあるんですけど、もう一つのピースがちゃんとくっつけば、自信だったり、ポイントでどうプレーするかというのは、自分の中で形にハマってくれば簡単に結構ポンポン勝てるようになると思います。多分まだそこが自分の中でしっくりきていないのか、あまり話していないので分からないですけど。常にもうちょっとのところにいるなとは感じていますね。才能のある選手なのでいつかはくると思いますけど、それが来月くるのか、2,3年後になるのかというところがちょっと読めない選手かなと」
Q. なぜ今年の全米オープン出場を目標にしたのか。
「さすがに出れると思っていたので、2,3ヶ月あれば通常は戻せるだろうと。正直今となってはあれですけど、ウィンブルドンも出たらよかったなと心のどこかでは思っていたり。1回くらい奇跡的に勝てたかなというところも感じてはいました」
「意外と自分の中でたまたま復帰の感じがよかったというところが、たぶん体がしっかり100%の状態だったら1,2回は勝てた可能性はあったので」
「特にそんなに調整がギリギリかなというのは、今のところは思っていないです」
Q. 今後の目標について。
「目標としては、やっぱりまたトップ10に戻って彼らと勝ったり負けたりできるようなレベルまで戻りたいというのがまずは第一の目標です。他の選手たちを見てもなかなか難しいことはわかっていますが、まずは自分がテニスが好きというところと、まだ辞めるということは想像できないのと、今みたいなレベルで試合ができているので十分可能性は自分の中では感じています。またグランドスラムのトップで戦っているような存在には(今後)なっていたいですね」
Q. 復帰後の状態について、どの部分に状態の良さを感じているのか。
「全部ですね。唯一まだ足りていないところといえば、大事なポイントでまだ緊張が全身に回っていつも通りのプレーができなくなるところだったり、というところは結構まだ感じてはいるんですけど、それを除いたら十分満足いくようなプレーができています」
「戦術的にもそうですし、ボールを捉えた時の僕の感覚というところがかなりあるので。クロスとかだと簡単に大体のところには打てるんですけど、ダウン・ザ・ラインとかドロップだったり、振られた時のディフェンスだったり、そういう細かいところの感覚がすごくいいです」
「それが結構復帰の時は失われがちというか、(以前の復帰時は)狙っているところに中々入ってくれないというところが、(今回は)いつも以上に入ってくれるという感覚があるので、ちょっと自分でもびっくりするところがあったりするんですけど、これに期間が半年くらいかかったりもしてたので昔は」
「なのでこの膝の怪我でこの感覚がどうなるかというところは心配ではありますけど、そこら辺が前よりはいいところですね」
Q. グランドスラムについて思うことは。
「グランドスラム自体かなり久しぶりですし、チャンスとしてはトップの選手と対峙できる可能性があるというところが、やっぱりどうしてもワクワクしてしまうところの一番ですかね」
「この大舞台でたくさんのお客さんの中でプレーできるという幸せとワクワクが、他の大会よりは自然と湧き上がってくるのでそこが楽しみなところです」
Q. 怪我に対する見方の変化はあるか。
「今回の(怪我)は、復帰したてでこういう怪我がちょいちょい出てくるのは何となく想定はしていたのですが、僕自身もワシントンで試合を辞めた時に、1,2週間くらいだろうと思っていたのが、意外とかかっているのでそこは昔とのギャップはもしかしたらあるかもしれないですね」
「特に自分は怪我が多い方なので、これはもう自分の体と向き合うしかないですし、だからといって試合数を減らすわけにも今はいかないので、最後まで付き合っていくしかないのかなとは思いながら、相当ストレスも溜まりますけど、しょうがないですね」
Q. ツアー離脱中、いつが一番精神的につらかったか。
「モチベーションとしてはまたテニスがしたいということのみで、基本的に自分の欲のためにテニスをずっとやっているし、それを極めようと日々やっている身なので、本当にまた強くなりたい、またトップの選手たちと試合をしたいというところだけが常に自分の頭の中にあります」
「一番つらかったのは股関節が治り始めて、そこで足首の怪我が出てきてというところが精神的に一番つらかったですね。若干今もつらいはつらいんですけど、股関節と足首の期間がすごく長かったのでまた手術になったら気持ちが持つかなとか、そこらへんは考えるようになりました」
「だからといって今どうこうはないですけど、幸せにテニスができることだけを目指して自分でもやっています」
全米オープン出場は未定としながらも、会見ではユーモアも交えつつ終始穏やかな表情で前向きな言葉を語った錦織。全米オープン出場の可否に注目が集まる。
なお錦織は、同大会の初戦で予選勝者と対戦することが決まっている。
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