男子テニスで世界ランク30位の
D・シャポバロフ(カナダ)が7日、各界のスポーツ選手の生の声を届けるスポーツメディア「ザ・プレーヤーズ・トリビューン(The Players' Tribune)」に記事を公開。テニス界における男女の賞金差、ジェンダーについて語った。
>>シフィオンテクらBNPパリバOP組合せ<<>>西岡、アルカラスらBNPパリバOP組合せ<<「ザ・プレーヤーズ・トリビューン」は2014年に野球の元メジャーリーガーのデレク・ジーター氏が設立したメディアプラットフォームで、これまでも多くの野球選手やバスケットボール選手、テニスのスター選手がファンに声を届けてきた。
2020年には自己最高の世界ランク10位を記録している23歳のシャポバロフは今回公開した記事で、自身のプライベートにおけるワンシーンから男女の賞金差に疑問をもったことを明かした。
「昔は僕自身テニスに対して甘かった。始めたころは、男性プロも女性プロも同じように扱われるものだとなんとなく思っていた。それが理にかなっていると思ったんだ。なにが違うのだろうか?」
「ガールフレンドのミリヤム・ビョークルンドとのことで、僕の目が開かれることになったんだ。彼女はプロテニス選手でそのときは世界150位以内に入っていた。去年のことだ、WTA250の大会に出ることになったんだ。僕はミリヤムに『おお、素晴らしい!メインドローに出るだけで少なくとも7,000ドルもらえるよ』と言ったんだ」
「そのとき、彼女はまるで僕がテニスの初心者であるかのような目で僕を見た。あのときのことは忘れられないよ。彼女は『1,000ドルくらいだと思うわ』と言ったんだ。僕は『何言っているんだ?そんなことあり得るのか?』と聞いた」
「これがテニスにとってどれだけダメージが大きい問題か、みんな気づいていないだろう。もうすぐ国際女性デイだけど、僕はジェンダーギャップについて話したいと思う。とても不公平なことだ。まったく意味がない。テニスの世界では、1年中旅をして、ホテルに泊まり、コーチングスタッフに給料を払うから、その費用は異常なものになる。スターはその心配をする必要はないけど、ツアーに参加している多くの選手は、収支を合わせるだけでも苦労している。そのような選手にとって、賞金はまとまったお金を手に入れることではないんだ。文字通り『生き残るためのもの』になる」
「残念ながら、もしあなたが女性のテニス選手だったらプロとして生き残るチャンスはもっと低くなる。あなたが女性であるためにね。僕はいまだにその思考回路が理解できない。女性はチケットが売れないという人もいるが、僕が試合を見に行くとスタジアムは満員なんだ。昨年8月にワシントンで開催されたWTA250で、ミリヤムが
D・サビル(オーストラリア)と対戦したときのスタンドの写真を撮ったんだ。満員だったよ。試合はめちゃくちゃ激しかった。クオリティは信じられないほどだったんだ」
「ファイナルセットでサビルがタイブレークを制した。そしてそこでは男子も500カテゴリーの大会もやっていたんだ。男子は1回戦の勝者に1万4,280ドルが支払われた。サビルは4,100ドルだったんだ」
「3分の1以下だ! それに、ATP250と比較しても、数字が意味をなさない。そのワシントンのWTA250には、
J・ペグラ(アメリカ)のような世界トップ10に入る選手がいた。優勝者は3万3,200ドル稼いだ。これは多く聞こえるかもしれないが、そのようなトーナメントで勝つために何年ものハードワークが必要なのか想像してみてほしい。正気の沙汰とは思えない。次に、男子テニスと比較してみよう。僕は昨年9月にソウルで開催されたATP250で決勝に進出した。準優勝で、10万ドルを手にした。つまり、全然違うだろ」
「テニスが女性にとって世界のメジャースポーツの中で圧倒的に優れていることを知っている。
B・ジーン・キング(アメリカ)とWTA選手会のおかげで、この30年間で大きく成長した。グランドスラムはうまくいっている。WTAがチャレンジャー大会の賞金を増やしたのも素晴らしいことだ。物事は間違いなく正しい方向に向かっている。しかし、全体的にはまだ大きなギャップがあるんだ」
「性別、肌の色、人種。何であれ、同じ機会が与えられるべきだろう。賞金については、完全な平等以外は不公平であるばかりか、参加を妨げることになる。女性選手が公平に扱われないと、下位レベルの選手の中には、続ける余裕がないと思う人も出てくるかもしれない。潜在的なスター選手は辞めてしまうよ」
「そして、女子テニスは本当の意味で『人気』ではなくなってしまう。テレビで放映されることも少なくなる。そうなれば、ドミノ倒しだろう。そして1番悲しいのは、それが子どもたちにまで伝わってしまうことだ。僕は
R・フェデラー(スイス)に刺激を受けたが、もし女子テニスの露出が減れば、テレビの前の小さな女の子は、それが自分にとって現実のものになるとは思わないかもしれない。アイドルを見て『あの子になりたい』と思うことはなくなってしまう」
「それはとても残念なことだ。その少女は結局プロになれないかもしれないけど、それは女性が不公平に扱われているからではない。みんなに同じチャンスを与えられるべきなんだ。賞金も同じように出そう。男女の格差を『縮める』という話はやめるべき。テニスを公平にできないのであれば、それは存在しない方がいい」
シャポバロフは8日に開幕するBNPパリバ・オープン(アメリカ/インディアンウェルズ、ハード、ATP1000)に単複で出場を予定している。
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