「富士そば」なぜテニスを支援?

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丹有樹
画像提供:tennis365.net

現在行われている男子テニスのUCHIYAMA CUP TOKYO(日本/東京、ハード、ITF)を支援している立ち食いそばチェーン「名代 富士そば」を運営するダイタンホールディングス株式会社代表取締役の丹有樹氏はtennis365.netのインタビューに応じ、テニスを支援する理由やテニス界の課題について語った。

>>島袋 将、富士そばと契約締結<<

神奈川県出身で1974年生まれの丹氏は学生時代にテニスに打ち込むと、テニスコーチをしながら自身も試合に出場していた。

その後、日本男子が世界で勝てない状況が続いたことを打破すべく2001年に株式会社プロテニス日本の設立に尽力。

プロテニス日本では日本で初となるチャレンジャー大会を開催するなどした。丹氏は当時を振り返る。

「わかりやすくいうと松岡修造さん以降から錦織圭選手前という日本男子が勝てなかった時期に、日本の男子がもっと世界に出られる環境を作ろうという意識でプロテニス日本という会社は始まりました」

「日本男子がなかなか世界に出られないという中で、活動費をどうやって集めるかという課題と、ATPポイントをどうやって取るかという課題の2つがありました。やっぱりチャレンジャーが日本にないというのは1つ大きな男子が世界に出て行きづらい理由だったと思うので、そこを埋めるために当時日本で初めてチャレンジャーを横浜で開催しました」

「活動費というところでは、プロ選手を呼んで観客を集めてお金を稼いで、選手と分配するという仕組みのツアーNというイベントを作って、全国で開催をしていきました」

その後、ダイタンホールディングス株式会社に入社した丹氏。同社では2022年に初開催された高額な賞金で日本の選手たちにチャンスを提供するというテーマの大会「SBCドリームテニスツアー」の思いに共感しテニスへの支援を開始した。

翌年には、近年では多くの選手が10代から海外で腕を磨くなか、珍しくなった日本の大学を卒業して世界を目指していた島袋将のサポートも始めた。島袋は四日市工業高校を卒業後、早稲田大学に進学。大学卒業後にプロとなり、現在は日本勢で世界ランキングトップに立っている。

丹氏は同社としてテニスを支援し始めた理由を説明した。

「SBCは大きい賞金を出して海外に行く選手をサポートするという心意気に共感してスポンサーになりました」

「島袋選手については、大卒プレイヤーが久々に四大大会に出場する手前まで来ていて、これは日本のテニス界にとってすごく意味があることと島袋選手のマネージャーである佐藤君(佐藤文平氏)に力説されました」

「本当にその通りだと思います。早く海外に行った方が強くなれるというのも1つの形ですし、真実だとも思います。でもやっぱり多くの選手はなかなかその道を選べないという現状の中で、大学テニスから選手が出てきてトッププレーヤーに近いところまで行けるっていう道が見えるに越したことはないわけじゃないですか。その最有力のところに島袋選手がいて、それは確かに日本のテニス界にとって意義があるというところから島袋選手のサポートをしています」

丹氏が今回のUCHIYAMA CUP TOKYOを含めテニスを支援しているのは、選手の選択肢を増やすためだという。

「(過去の経験から)日本男子が世界に出てくというのは、普通のことではないという意識が僕の中にはあります。そこの一助になれれば、非常に嬉しいと思います。もちろん海外からというのも1つの道だと思います。でも別の道もあるというか、ルートがいくつも出てくるというのはすごい大事なことだと思っています。特に日本で育ってほしいとかそういうわけではなく、多くの道があるべきだと僕は思っています」

一方、現在は丹氏の強い思いで社としてテニスの支援を行っているが、このことについて課題も感じている。

「企業としてどれだけの広告価値があるかというところは、正直難しい部分があるなと思っています。島袋選手が活躍してパッチが映る機会も増えると『富士そばがスポンサーについているんだ』と全然知らないところから声がかかるようなこともあったので、多少の効果はあると思います。ただ、これはテニス業界としての大きな課題だと思いますが、こういう大会(UCHIYAMA CUP TOKYO)とかでは、広告価値として出したお金分以上に返ってくることが現状ではなかなかないので、これはしっかり向き合って解決していくべき課題だと思います」

経営者としての丹氏の鋭い指摘は続く。

「多くの大会や選手がお金をいただいてスポンサーをしてもらってということに対して、それをどう返すのかという意識が非常に低いと僕は思っています。例えば大会のスポンサーをしていただきましたとなって、じゃあそれをどうやって返しているのかというところまできちんとやっている大会はなかなか少ないのかなと思っています」

「企業も慈善事業じゃないですし、富士そばも僕の思いだけでやり続けられるわけではないので、やっぱりそこに対してこういう形で広告価値を作っていくんだとか、こういう形で企業にバックがあるからこれを続けていくんだというものが見えてこないと、支援というのは続いていかないと思います。そこは、選手や大会運営をしている方々がしっかり向き合うべきところだと思います」

このような思いもある中で今回、UCHIYAMA CUP TOKYOを支援している丹氏。これだけを聞くと、リターンがなければサポートをやめると言っているようにも感じるが、それは違う。

あくまで丹氏の根底には今大会の主催者である内山靖崇とともにこの大会をより良いものにし、その先で日本テニス界をさらに発展させていこうという思いがある。

「UCHIYAMA CUPを支援している理由は、内山君が思いを持ってこの大会を作っていて、早く世界に出ていくための土台を作るITFというカテゴリーやりながら、世界基準にこだわってやってくれているからです。こういった大会が日本に増えるべきだと思いますし、こういう大会を見ていただくことで興味を持っていただく方が増えていくことがテニス界にとって非常にメリットだと思います。我々はそこのお手伝いをさせていただいている意識なので、まずは内山君のその思いを崩さないようなサポートをしたいと思います」

「先ほども言ったように、お金を出していただいた企業に戻りがあるようにしていきたいと思いますし、そのためにアイデア出したり行動したりというところは、どんどんやりたいなと思います」

「特にUCHIYAMA CUPはうちがスポンサーをしているのと同時に、うちに食材を下ろしてくださっている業者さんであったり、関わってくださっている会社さんというところも多くサポートに入っていただいていて、今回はお金を出していただいているだけみたいになっちゃっていますので、企業名が目に触れるような場面をもっと増やすであるとか、下ろしていただいている食材をこういう場所で食べられる状況を作るとか、そういったところまでやっていかないと、先ほど言ったような課題の解決というところにならないので、来年以降はそこまでちゃんと踏み込んでやりたいなと思っています」

「内山君の思いが詰まったこの大会をしっかり良い大会にできるように体も動かしますし、意見も言わせていただきながら一緒に作れたらいいなと思っています」

なお、今回新たな取り組みとして丹氏はテニスを支援しているスポンサー企業を集めたイベントを開催。これの狙いも明かした。

「大会にお金を出した企業さんにどう返すかという課題を解決していくために、今回スポンサーを集めたイベントを作りました。多くの大会は大会前に参加選手と大会のスポンサーを集めたレセプションパーティーを行いますが、大会を横断した企画というのは、日本ではほとんどないんですよね。僕はそれがすごくもったいないことだと思っていて、大会は違えどやっぱりテニス界を支えていらっしゃる企業さん同士がもっと顔を合わせる場所があっていいんじゃないかなと思っていました」

「なので今回のUCHIYAMA CUPではスポンサーズミーティングという形で、UCHIYAMA CUPとユニ・チャームトロフィー愛媛国際オープン、女子の株塾 甲府国際オープンテニスの3大会のスポンサーさんが集まるイベントを開催しています。テニスという軸で集まった企業さん同士が顔を合わせることで、ビジネスが生まれるようなことになるといいなというふうに思っています」

「広報活動としてまだまだテニスの大会は価値を出しきれていない部分はありますけど、テニスの大会にお金を出したことで、こういうビジネスが生まれたよとか、こういう企業同士の交流ができて、そこからまた新しい何かが生まれそうだよというところが出てくれば、大会にお金を出す意味がまた1つ別軸でできてくると思います」

「そういったところを内山くんであったり、あるいは今回参加してくださった企業さんに説明をしながら、2つの大会にも賛同して頂き、今回の企画ができました。僕はテニス業界から離れてビジネス界に入った人間なので、ビジネス界の人間として先ほど言ったような課題の解決になるように、UCHIYAMA CUPのイベントとしてこういった企画もやらせていただきました」

日本のテニス選手が世界で活躍する足掛かりとしてITF大会やチャレンジャー大会といったツアー下部大会の存在はなくてはならないが、下部大会であるがゆえに運営するにはスポンサーの存在が必要不可欠。しかし、下部大会であるがゆえにスポンサーへの見返りを生みにくい現状では、その支援も集まらなくなってくる。

丹氏はこの現状を変えるべく、ただ大会を支援するだけに留まらず、日本テニス界の発展に向け過去に携わってきたテニス界からの目線と、現在のスポンサーという立場からの目線を合わせ活動を続けていく。


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(2026年6月18日14時47分)
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