テニス用品メーカーのダンロップスポーツ株式会社は、しなり感・柔らかな打球感を継承し、高反発ウレタン素材、「ソニックコア」をフレーム内に装着することで更なるスピードアップを実現したテニスラケット スリクソン『REVO CX』シリーズ5機種を4月27日から発売する。
発売にあたり、ダンロップスポーツ株式会社にスリクソンというブランドについて、そして『REVO CX』シリーズについて話を聞いた。
-Q.スリクソンとはどのようなブランドですか?「最初はゴルフのブランドから始まって、テニスでは2007年からボールの販売を開始しました。当時のテニス用品はまだまだダンロップがメインでした。ダンロップとスリクソン、バボラも弊社で取り扱いがあり、当時のスリクソンは競技者志向、高級志向というコンセプトでした。それが今では小物やシューズとテニス用品全般を扱うようになり、今ではダンロップよりもスリクソンの方が弊社の中で規模が大きくなっています。」
「現在では、『テニスの上達に真剣に取り組むプレーヤー』向けに商品開発しています。当時、スリクソンは競技者向け、ダンロップは層を問わず一般の方から競技者の方問わず対象としていました。」
-Q.スリクソンのラケットのコンセプトは?「ラケットの多くのブランドは海外のブランドです。しかしスリクソンは日本国内を中心に開発しているので、日本人のニーズにあうように作っています。」
「以前、
J・マッケンロー(アメリカ)や
S・グラフ(ドイツ)が使っていた『MAX 200G』というラケットがあり、非常に打球感がやわらかく人気でした。その流れを継承しているところもあります。打球感の柔らかさ、ボールの食いつき感というのはそのころからの流れを継承しています。ダンロップで販売されていた『RIM』シリーズも『MAX 200G』と似たような素材を使って開発しました。その後は『ダイアクラスター』シリーズ、スリクソンという流れで今に至ります。」
※『MAX 200G』83年に発売されたダンロップのラケットでマッケンロー、グラフが使用した名器。
-Q.新たに発売される『REVO CX』シリーズの特徴を教えて下さい。「フレーム内にソニックコア・テクノロジーという、高反発ウレタン(発泡体材料)を装着しているのが特徴です。それによってボールのスピードがアップします。」
「現在のラケットの主流はパワーが出るラウンド形状のラケットですが、『REVO CX』シリーズはボックス形状のラケットです。ボックス形状の良さというのはフレームが薄い分ラケットのしなりを感じる打球感の部分です。スピードアップさせるためには、従来のやり方だと剛性を上げる(ラケットを硬くして反発性を高める)、重量バランスを上げ(トップヘビー)パワーをあげる方法があります。しかし剛性を高めると打球感が硬くなりがちで薄いボックス形状のラケットの良さが無くなってしまいます。また、バランスを変えトップヘビーにすると重く感じ操作性がおちてしまいます。」
「今回のソニックコア・テクノロジーという高反発ウレタンをフレーム内に装着することにより、インパクトの衝撃によってウレタン素材が収縮・復元し、フレームにパワーを伝えます。剛性を硬くするわけではないので打球感はそのままにボールのスピードアップ、パワーアップに成功しました。さらにフレーム重量を各5g軽量化することで操作性も向上しています。」
※ストローク速度で約11キロ(約8%)、サーブ速度で約7キロ(約4%)スピードアップした(ダンロップスポーツ株式会社調べ)。
-Q.開発にあたりどこに苦労しましたか?「ソニックコアという素材を選ぶところから始まり、反発力や厚さが違うものを何種類も試作して適したものを選ぶのに苦労しました。そしてフレームの中に素材を入れるというのが今までのラケットを作る工程に無かったことなので、工程面での改善に苦労しました。」
-Q.『REVO CX』シリーズはどのようなプロ選手が使用しているのですか?「1月に世界ランキング15位を記録した
K・アンダーソン(南アフリカ)、
土居美咲(日本)、
鈴木貴男(日本)、
綿貫裕介(日本)、
L・クムクーム(タイ)、
T・タナスガーン(タイ)、車いすで世界ランキング1位の
上地結衣(日本)が使用しています。」
-Q.モデルチェンジにあたり、選手からどのようなリクエストがでましたか?「試作の段階でテストしていただくこともあり、その際にアドバイスをいただきます。そのいただいた意見を反映し、開発していきます。もちろん全員のリクエストを反映できるわけではありませんが、多くあがった意見を反映していくことが多いです。」
「プロが約2年間ずっと使い続けて、慣れたラケットに対して新しいラケットを使っていただくので、即順応するのはなかなか難しいことです。しかし今回の『REVO CX』シリーズでは順応できないということがほとんど無く、打球感やフレームのしなりは前のモデルと変わらないように作っており、なおかつパワーアップしているのでメリットを感じていただくことが多かったようです。」
「ラケットテストは選手のオフシーズンにしかじっくり行うことが出来ず、しかもトップ選手のオフは特に短いのでその間に調整していくのは大変でした。」
-Q.『REVO CX』シリーズはどのような方に使ってもらいたいですか?「スリクソンの特徴は打球感の柔らかさですので、多くの方に喜んでもらえるモデルだと思います。他社には無いラケットの構造となっているので一度試打していただいて打球感を感じていただければと思います。最近のボックス形状のラケットは剛性が高いものが増えてきています。スリクソンの『REVO CX』シリーズは打球感の柔らかさを特徴としているので試打してみると気に入られる方は多いですね。」
-Q.今後ラケットはどのような進化を遂げていくと思いますか?「少し前はより強力な回転がかかるようなラケットが主流でしたが、最近の特徴としてはボールのスピードアップなどがあります。それは今のトップ選手のプレースタイルから反映されているもので、トップ選手を倒すための戦術が変わってくると、また新しいプレースタイルに合ったラケットが開発されるようになります。」
「ラケット素材の進化だけでなく、プレースタイルや戦術、どのようなショットが必要なのかを先取りしていくことが必要だと思います。」
「競技者向けのラケットの開発はもちろんですが、一般プレーヤーの声にも耳を傾けたラケットの開発もしていきます。」
-Q.今後スリクソンはどのようなことを目指していますか?「アンダーソン選手の活躍で、フェイスブックやメールで海外からの問い合わせも多くあり、今後は海外展開を広げていく予定です。」
スリクソン 公式ホームページはこちら取材協力:ダンロップスポーツ株式会社 テニス企画開発部 山本陽介、山形真司、広報部 田中絵梨
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