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シングルス編

Vol.2 プレイの柱になるショットを作ろう シングルス編 下巻

安定した セカンドでも使える スピンサーブ

② 身体の動きは最小限に

手首を緩めすぎない

ラケット・コントロールを良くするには、「手首を柔らかくしすぎない」ということも大切になる。もちろん、ヘッドスピードを上げるには、手首を柔らかく使うことが大切だが、確実に入れたいときは、ある程度制限したほうが良いのだ。また、手首には緩めてはいけない方向もあるので(イラスト右下参照)、その点にも十分注意してほしい。

たとえばヒモの先にラケットをつけても思い通りに動かせないのと同様に、手首を完全に脱力してフニャフニャの状態にすると、ラケットの動きをうまく制御することはできない。ラケット・コントロールを確実に行なうには、手首をあまり緩めすぎないことが大切なのだ。

このように膝を深く曲げたり、身体を大きく反らせたりしても、そこで蓄えたパワーを有効に生かすためには、かなりの熟練と基礎体力を要する。したがってアマチュアの場合は、バランスを崩してスウィングが不安定になったり、逆にパワーロスにつながったりする??つまりマイナスに作用することのほうが多くなるのだ。

バイバイするような方向で手首を動かすことは、回転量を増やすためにはある程度有効だが、ラケット・コントロールという意味では、かなりマイナス要素となるし、当たりの厚いスピンサーブを打つのにも妨げとなる。そのため、今回の柱のショットにはふさわしくないのだ。

土台はとりあえず安定性重視

身体の動きについては、とりあえず最小限にとどめておくのが基本原則だ。下半身や体幹のパワーを効率良く使うことは、スウィング・スピードを上げるには不可欠な要素だが、やはりやりすぎはスウィングを不安定にする要因となってしまう。

現段階では、とりあえずスピードよりも安定性が大切なので、腕をしっかりと振り抜いたうえで球筋を安定させるということが最重要課題となる。したがって、土台となる身体(下半身)の役割としても、モアパワーよりも安定感を第一に考えるべきなのだ。

トッププロが、このように身体を大きく使って打っても安定性を失わないのは、基礎的な筋力が普通の人とはかなり違うからだ。たとえば20の力を持つ人が8 の力を出すのと、10の力しかない人が8の力を出すのとでは、余力の残し方が全然違う。その差が、バランスや安定感に大きく影響してくるので、筋力の違いを無視してプロの真似をするのは、ミスを増やす原因になってしまうのだ。

柱となるスピンサーブの最初の段階では、身体はあまり使わずに、腕はしっかりと振り切るということを重視したい。「それではボールに縦回転がかからない」と不安になる人もいるだろうが、斜めの回転がかかっていればそれで十分だ。そうして、とりあえず威力は気にせず、しっかり振り抜いたうえで球筋を安定させることを重視し、余裕と自信が出てきたら、徐々に全体の動きを大きくしていけば良い。

P.サンプラスの横から見たスピンサーブ(倍速デジタル撮影)
アドサイドから打ったスピンサーブ(セカンドサーブ)を横から見た場面。ラケットの動きは、前ページのイラストとほぼ同じになっていることがわかるだろう。ポイントは、下から上の動きで回転を多くかけているにも関わらず、後ろから前への動きもかなり大きいということと、インパクト手前の面が少しかぶった形(下向き)になっていることだ。
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「スピンサーブ ③ 緩く打つ練習で球筋を安定させる」 >>

(テニスジャーナル 2005年3月号)
© SKI Journal Publisher Inc.

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