リターン編 |
Vol.2 リターン巧者のテクニック アガシ&コリア |
アンドレ・アガシの リターンを解剖する
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アガシがアガシたる理由 |
アガシのリターンゲームは群を抜いている。何しろリターンゲームの獲得率が43%。アベレージで80%近いサービスゲーム・キープ率がある男子ツアーにあってこの数字は驚異的だ。
アガシが特別な理由は2点に集約されると思う。
まず第1点はフォア、バックともに攻撃力があるということ。
そしてもう一点が類い希なライジング能力だ。
相手のセカンドサーブになるとフォアに回り込んで打とうとする選手は多い。しかし、アガシはバックでも一本で決めることができるショットを持っているので無理に回り込む必要がない。
それに、リターンを深くへコントロールする能力が抜群なのでリターンゲームでも主導権を握れるという強みもある。先手を握ったストローク戦となればアガシのもの。これがブレイクにつながっている。
また、ライジングでボールを処理する能力がずば抜けているのがアガシだ。アガシがウィンブルドンを制したとき最大の武器となったのがライジングのリターン。相手のサーブがどんなに速くてもコースが甘ければアガシのリターンの餌食となってしまうのだ。
ストロークには自分から打ちにいくショットとカウンターで合わせるショットの2種類がある。そしてリターンでは多くの場合カウンター・ショットとなるが、アガシのカウンター・ショットは単に合わせるだけでなく、ボールを打ち抜くことができるショットなのだ。 |
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<<アガシの高速フォアハンド>> |
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アガシの高速フォアハンドのポイントはこの拡大写真の2点。まず、学びたいのはインパクトの面をできるだけ崩さないで保つということ。そして、フォロースルーで右肩をグッと前に持ってくる点も参考にしたい。「ラケット面が打ったボールを追うようなスウィング」になっているのがアガシのフォアの特徴だ。 |
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上のフォアハンドの連続写真を見ると2~3コマ目では力が入っているようには見えない。全体のアクションにしてもアガシよりも派手な選手はたくさんいる。それでもアガシのボールのほうがスピードがある。それがアガシの特別な能力で強さの秘密だ。
部分的に見れば、4~5コマ目の腕のスウィングが抜群に速く、ラケットを振り抜く方向がネット方向(前)にある、というところが特徴だろう。つまりスピン量を最小限に止め、スピードを重視した打法だ。
スピンをかけネットの上を通すと当然ミスの確率は少なくなる。しかし、アガシはフラット気味のボールでもミスが極端に少ない。
それは下のバックハンドでも同じこと。4~5コマ目を見るとスピンをかけようという意識はまるでない。それを瞬間的なライジング打法の中でこなしているのだ。
このように、むずかしいことを簡単そうに行なっているのがアガシの特別なところであり、アガシのアガシたる所以なのだ。
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<<アガシのシンプルなバックハンド>> |
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フラットでボールを叩くときのアガシの両手打ちバックハンドはすごくシンプル。テイクバックで作った右手、左手の形を崩すことなく、まっすぐインパクトに結びつけている。この高さのボールを叩くときのポイントは左肩の位置。左肩を上げないと腕も上がらず、高い位置でボールを叩くことはできない。 |
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(テニスジャーナル 2003年7月号) © SKI Journal Publisher Inc.
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