JUSTINE HENIN |
Vol.3 フォーム的には女子でもっとも完成度が高いサービス |
フォームはセリーナよりも男性的 |
エナンも、リターン優位の女子の世界で、サーブで優位に立てるだけの威力を持った選手だ。有無を言わさずエースを取るというほどではないが、男子におけるフェデラーと同じで、相手の読みを外せばエースになるサーブを持っている。
エナンの良いところは、女子としては非常に完成度の高いフォームを持っている点だ。リストの使い方が良く、セリーナよりも男性的なスウィングを身につけており、女子ではかなり稀な存在と言える。そのため、しっかりしたスピンサーブ(キックサーブと呼べるレベルのもの)を打つことができ、相手のバックに高く弾ませてプレッシャーをかけられる。これを女子でできる選手は極めて少ない。
女子の中で、スウィングの質がいちばん優れているのはエナンだが、セリーナのほうが身体能力で上回っている分、一歩リードしているという図式になる。 |
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エナン=アルデンヌのデュースサイドからのフラットサーブ
エナンのサーブは、シルエットだけ見れば男子と勘違いしそうなほど男性的な打ち方だ。とくにインパクト時の手首の角度がきっちり保たれているところ(8)などは、セリーナにも真似できない部分と言える。ただし、身体のパワーはセリーナのほうがうまく使っている。
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かわすサーブの組み立てもできる |
また、エナンの場合、サーブの調子によって組み立てを変えることもできる。調子が良ければサーブでどんどん攻めていくこともあるし、調子が良くないときは、頭を切り換えて、相手のリターンをかわす組み立てに変更し、ストローク戦で勝負していく。そのときも、質の高いスピンサーブが大きな武器となり、ラリーを優位に始められるケースが多いのが強みだ。 |
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エナン=アルデンヌのデュースサイドからのスピンサーブ
女子としては深い手首のコックと、肩の線を傾けていることにより、インパクトでラケットが斜めに傾き、それによって縦方向の回転をかけやすくなっており、プロネーションを十分に利かせてラケットヘッドを外側に振り抜いている点も、スピンサーブの基本に忠実だ。
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(テニスジャーナル 2004年8月号) © SKI Journal Publisher Inc.
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ジュスティーヌ・エナン研究編 一覧
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