JUSTINE HENIN |
Vol.2 女子ではもっともオールラウンド。どんな戦い方にも対応 |
どんな戦い方にも対応できるトータルバランス |
ジュスティーヌ・エナン=アルデンヌは、フォアもバックも、チャンスを逃さない攻撃力があり、それに加えて守備力も非常に高い。とくにバックのスライスで広いリーチを確保し、そのスライスの質も高いため、攻められてもペースを変えられるというのが大きなアドバンテージになっている。また、フォアのヘビートップスピンで相手の攻撃をかわすこともでき、守備力は女子で随一と言えるだろう。 攻撃にも多彩なパターンがあり、相手によって使い分けられる引き出しが非常に多いのが、最大の強みだ。そのため、苦手な相手がほとんどなく、攻められても逆転できるし、相手が弱ければ攻め勝てるし、本当のオールラウンダーと言える。 逆にライバルたちにとっては、非常に崩しにくい選手、攻略法を見つけにくい選手だと言える。 |
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エナン=アルデンヌのオープンスタンスでのハードヒット
こちらはノーマルな状況からのハードヒットだが、インパクト後すぐにはラケットヘッドを返さず、面を打球方向に少し押し出すような動きがあって、思い切り振り抜くというより、丁寧にコントロールしようという意識が感じられる。その意味でも、アマチュアの男性にはちょうど良い手本になるだろう。
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男性的なスウィングを支える筋力 |
そうしたエナンの強さを支えているのは、見かけによらぬ筋力の強さだ。まず土台となる下半身が非常に強く、女性の中では肩まわりの筋肉もかなり強い(それをトレーニングでさらに強化している)。そのため、身体の使い方も男性に近くなり、打球フォームも男性的になっている。そのことが、彼女のショットのパワーや、追いこまれたときの粘り強さに大きく貢献していることは間違いないだろう。 |
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エナン=アルデンヌの高い打点からのハードヒット
浅く返ってきたチャンスボールを、高い打点から豪快に叩いて決めにいった場面。オープンスタンスから右足のひねり上げを使って腰の回転を生み、インパクト時には右肩を追い越しており、その後の振り抜きも非常に力強い。エナンならではのフィジカルの強さ感じさせる男性的なスイングといえる。
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エナン-アルデンヌのランニング・ショット
これは完全にランニング・ショットになった場面なので、身体の回転力はあまり使うことができず、腕力の強さがボールのパワーに大きく影響する状況だ。エナンの場合、筋力の強さを生かしてこのような場面でも強いカウンター・ショットを打つことができ、それが戦術的にも大きなアドバンテージになっている。
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(テニスジャーナル 2004年6月号) © SKI Journal Publisher Inc.
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ジュスティーヌ・エナン研究編 一覧
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