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自らも怪我を抱えて出場している王者 |
画像提供:Getty/AFLO |
(中国、上海)
上海で開催されている男子テニスのマスターズカップに、トップ選手の欠場が相次いでいることについて、遂に王者R・フェデラー(スイス)が口を開いた。
「大会側の怒りはもっともだと思うし理解できるよ。彼ら(大会側)は、3年契約を結び、さあこれからというところなんだからね。トーナメントをバックアップしようとしていた国やファンに対しても大変失望を与えてしまった。」と、大会側の怒りに理解を示した。
M・サフィン(ロシア)、L・ヒューイット(オーストラリア)、A・ロディック(アメリカ)らが早々に不参加を表明していた今回のマスターズ大会だが、大会前日になって世界ランキング2位のR・ナダル(スペイン)が急遽不参加を表明したのに続き、なんとその次にはA・アガシ(アメリカ)までもが怪我を理由に棄権するなど、過去に前例がないほど大会は混乱を極めている。
多額の報酬を払って大会を誘致し、スポンサーを集めた運営者としては正に泣きっ面に蜂といったところ。アガシの棄権について、「アガシの決断(突然の棄権)は極めて遺憾。彼は、2000年のハイネケン・オープンでも初戦で姿を消し、2年後のマスターズカップでも2敗した後、いきなり棄権表明した。今回また同じことが起きたんだ。」と、大会オフィシャルがコメントしたことも、その不満ぶりを物語っていえよう。
アガシが初戦敗退後、大会を棄権したことについてフェデラーは、「どの程度、彼(アガシ)の怪我の状態が悪かったのかわからないけれど、コートまで来るといった前向きな姿勢だけでも示すべきだったかもしれない。もちろん彼以外の選手についても同じことが言えるけれどね。」と語った。ただ同時に、「いや、もしかしたら僕の指摘は正しくないかも知れない。彼らは彼らの怪我の状態を一番良くわかっていてそのうえで行動しているのだろうから。」ともコメントした。
フェデラー自身、練習中に足首を怪我し、今回のマスターズカップ出場が危ぶまれていた。「僕自身、実際に出場できるかどうかわからない状態だったけれど、とにかくここ(上海)に来て治療を施しながらスタンバイしていたんだ。それくらい僕にとってこの大会は重要なのさ。こうして大会に参加できた以上、あとはテニスというスポーツにとってどれだけこの大会が意義深く重要なものかということを世界中に伝えなければいけないね。」と語り、その真摯な姿勢を印象付けた。
(2005年11月17日)