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王者らしからぬ苦戦で勝利をものにした |
画像提供:Getty/AFLO |
(中国、上海)
ATPツアー最終戦マスターズカップ(賞金総額445万USドル、インドア)3日目の火曜日に行われた予選ラウンドで、R・フェデラー(スイス)がI・リュビチッチ(クロアチア)を6-3, 2-6, 7-6(7-4)の大接戦の末に下した。これでフェデラーは予選の成績を2勝0敗とし、あと1試合を残してレッド・グループの1位通過を決めた。
最終セットでフェデラーは3度のマッチポイントをふいにし、その後は逆にあと2ポイントで敗戦という、最大の崖っぷちに立たされた。もし負けていたら、今年6月3日の全仏オープン準決勝でR・ナダル(スペイン)に敗れて以来となる敗戦だったが、そこは王者、タイブレークでリードを奪うと、最後はバック・ハンドのダウン・ザ・ラインへのパッシング・ショットがリュビチッチの横をすり抜け、33連勝を決めた。
フェデラーは「まさに予想していた通りの接戦だった。ここ数週間の僕の怪我の影響も考えると、もしかしたら彼に分があるのか、とさえ思えた。だから勝てたことはとてもうれしい。」と、ここ数週間好調を続けるリュビチッチを警戒しながらも、勝利を収められた結果を素直に喜んでいた。「でも、もし・・・万が一負けていたら、かなり後悔しただろうね。だって勝てるチャンスは十分にあったんだから。」と、フェデラーらしからぬコメントもしていた。
これで、1979年から80年に掛けてB・ボルグ(スウェーデン)が作った連勝記録の41へ、あと8連勝と迫ったフェデラーは、今季の成績も79勝3敗へと伸ばした。右足首の捻挫のため6週間ツアーから離れていた彼は、復帰戦となったD・ナルバンディアン(アルゼンチン)戦を6-3, 2-6, 6-4で勝利を収めており、今大会を全勝で優勝すると1984年にJ・マッケンロー(アメリカ)が記録した年間シングルス最高勝率の82勝3敗に並ぶこととなる。
「出場選手の中で自分が一番怪我のハンディキャップを背負っていると大会前は思ったけど、今となってみればちゃんとプレーができていることに意味がある。グランドスラムに匹敵する今大会は、誰でもが出られるわけでもないし、権利があっても(怪我で)出られないこともあるんだからね。」と、フェデラーらしい真摯なコメント。
月曜日に突然の欠場を表明した第2シードのナダル、第5シードのA・アガシ(アメリカ)を含め、A・ロディック(アメリカ)、L・ヒューイット(オーストラリア)、全豪オープン覇者M・サフィン(ロシア)らを、怪我などの理由で欠いた大会で、そんな中フェデラーの3連覇を揺るがすところまで追い込んだリュビチッチだったが、金星とはいかなかった。これで両者の今年の対戦成績はフェデラーの5連勝、通算で7勝3敗となった。
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僅差で勝利を逃し、天を仰ぐリュビチッチ |
画像提供:Getty/AFLO |
一方、リュビチッチは、「今日は初めてフェデラーより勝っていると思えた。だからこそ、普段は入っているはずのショットがほんのわずか外れたりすると、逆にイライラしてしまった。そうしたら、それまでとがらりと変わって、急にフェデラーがサービスエースを決めだした。まあ、それが彼との差なのかもしれない。でも、本当に接戦だった。気持ちが収まらないよ。勝利を物にできた試合だったんだ。」と、悔しさを露にしていた。
フェデラーは準決勝進出が決定しているが、その前にレッド・グループの最終戦をG・コリア(アルゼンチン)と行う。コリアは、この日の第2試合で同胞のD・ナルバンディアンに5-7, 4-6で敗れたためラウンドロビンで0勝2敗となり、フェデラー戦を待たずに予選敗退が決まった。ナルバンディアンは1月の全豪オープンの4回戦に続いてコリアに連勝となった。
その結果、同グループから決勝トーナメントに進む残り一人は、現在1勝1敗のナルバンディアンまたはリュビチッチとなり、5日目木曜日の両者の直接対決で決定される。
ナルバンディアンは、リュビチッチとの対戦について、「おそらく厳しい試合になるだろうね。次へ進むにはお互い勝たなければならないんだから。ベストを尽くすほかにないよ。彼(リュビチッチ)はとても手強い相手。サービスも強烈だし、ベースラインからのゲーム運びがレベルアップしているんだ。接戦になるだろうね。」と、意気込みを語った。
(2005年11月16日)