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順調なスタートを切ったロディック |
画像提供:Getty/AFLO |
(イギリス、ウィンブルドン)
昨年に続いて今大会も第2シードで出場のA・ロディック(アメリカ)は、J・バネック(チェコ共和国)を6-1, 7-6(7-4), 6-2のストレートで下し2回戦へ進出を決めた。
2003年のUSオープン・チャンピオンで、昨年の同大会ではR・フェデラー(スイス)に敗れ惜しくも準優勝だったロディックは、第2セットの第3ゲームで唯一自身のサービス・ゲームでブレークを許したが、その後すぐにブレーク・バックに成功し、持ち込んだタイブレークを制して2セット連取し試合を決定づけた。敗れたバネックはこれでグランド・スラム11大会連続初戦敗退と言う、嬉しくない結果を残してしまった。
「今日のプレーは、上出来だった気がするよ。リターンミスが少なかったし。第2セットでは、サービス・ゲームでちょっと雑になってしまって、思った以上の接戦になってしまった。でも、こうしてストレートで勝利して、2回戦へ進出できた。初戦ではこれがすべてなんだ。」と、ロディックは快勝の喜びにも改善すべき点の考慮も忘れていなかった。
全豪オープンの準決勝では、地元のL・ヒューイット(オーストラリア)に敗れ、全仏オープンでは2回戦で、J・アカスーソ(アルゼンチン)に敗れたロディックだが、前哨戦のロンドンでは絶好調で3連覇を達成している。
「この大会はどうしても優勝したい。喉から手が出るほど欲しい。ここ数年、芝では満足の行くプレーができていたけど、どうしてか優勝に手が届かなかった。言うは易し行うは難し。」と、今大会に掛ける意気込みの強さを語っていた。
続く2回戦のロディックの対戦相手は、ラッキー・ルーザーのD・ブラッチアリ。2メートル8センチの巨体I・カルロビッチ(クロアチア)と対戦したブラッチアリは、ATP記録とならぶ51本ものサービス・エースを放たれながら、6-7(4-7), 7-6(10-8), 3-6, 7-6(7-5), 12-10と言う壮絶な試合を物にして2回戦進出を決めている。ブラッチアリ自身は31本のサービス・エースに留まり、唯一ブレークに成功したのは試合を決めた第5セットの第22ゲームだけだった。
またR・ジネプリ(アメリカ)は、第14シードのR・シュティエパネック(チェコ共和国)に7-6(7-5), 3-6, 4-6, 2-6で敗れ、同胞のロディックのようには行かなかった。
全仏オープンを制し、クレー・コートのスペシャリストの名を欲しいままにしたR・ナダル(スペイン)は、腰痛に苦しんでいたベテランのV・スペーディア(アメリカ)を6-4, 6-3, 6-0のストレートで退け、芝でもその強さを発揮していた。スペーディアがトレーナーを要求した後は、13ゲーム中12ゲームを奪い一方的に試合を決めた。
19歳になったばかりのナダルは、2週間前にハーレで行われたウィンブルドン前哨戦の1回戦でA・ヴァスケに敗れ、それまでの連勝を24で止められていた。しかしその試合は、全仏の決勝のわずか3日後と、疲労を抱えたままでの試合だった。
地元イギリス期待のT・ヘンマン(イングランド)は、J・ニエミネン(フィンランド)に3-6, 6-7(5-7), 6-4, 7-5, 6-2の逆転勝利を収めた。第6シードのヘンマンはこれでウィンブルドンでの成績を41勝11敗とした。
「どんな大会でも手を抜く事はしない。特にここウィンブルドンでは、自分の持つ記録や、どれだけプレーしてきたかを考えると、もっと何かしなきゃいけないっていつも思うんだ。試合が進むにつれて、観客もどんどん試合にのめり込んで来たね。とにかく今日の接戦に勝てて嬉しい。そんな皆の前で負けでもしたら申し訳ないからね。」と、地元声援の後押しが強い味方だった事を実感していた。
ヘンマンは、2セット・ダウンからの逆転はこれが4回目だったが、ウィンブルドンでは初めての経験だった。30歳の彼は、1939年のF・ペリー以来の地元チャンピオンへの期待というプレッシャーを背負いながら毎年ウィンブルドンに戻ってきている。今年も第9シードのS・グロージャン(フランス)や、ロディックなどの顔が揃う、タフなドローとなっている。
ヘンマンに続くイギリスの新星と目される、スコットランド出身で主催者推薦で出場している18歳のA・マレーも多くの期待を背負っている。この日の初戦では、予選勝者のG・バストルから6-4, 6-2, 6-2の勝利を上げ、グランド・スラム・デビューを白星で飾った。2回戦ではR・シュティエパネックと対戦する。敗れたバストルは、かつて今大会7回の優勝を誇るP・サンプラス(アメリカ)と2002年大会で対戦し、見事サンプラスを下したことで知られるが、それがサンプラスのウィンブルドンでの最後の勇姿となった。
昨年に続き地元からの主催者推薦で出場したJ・マレイは、2年連続のフルセット負けを喫していた。24歳のマレイは、昨年の初出場ではK・ベック(スロバキア共和国)相手に3本のマッチ・ポイントを逃し勝利を逃していた。今年も2002年にベスト4入りしたX・マリス(ベルギー)に3-6, 6-3, 6-2, 1-6, 4-6の逆転で敗れている。
その他、第15シードで昨年の全仏準優勝者で、クレー・コート巧者のG・コリア(アルゼンチン)がT・ベーレント(ドイツ)を6-1, 6-1, 6-2と寄せ付けず、第28シードのJ・ノバークもP・ベッセル(オランダ)を7-6(7-4), 6-3, 6-4のストレートで下している。フランス期待の星、R・ガスケ(フランス)も勝利を手にした。第27シードで出場のガスケは、P・コールシュライバー(ドイツ)に6-3, 3-6, 6-3, 6-2で下している。前週の土曜日、自身の19回目の誕生日にノッティンガムで初優勝を上げたばかりだった。
一方、第20シードのI・リュビチッチ(クロアチア)はJ・メルツァー(オーストリア)に4-6, 4-6, 4-6のストレートで敗れた。その他、第17シードのD・フェレール(スペイン)、第19シードのT・ハース(ドイツ)、第30シードのR・ソデルリング(スウェーデン)、第32シードのF・ボランドリ(イタリア)が初戦で姿を消した。ハースはJ・ティプサレビッチ(セルビア・モンテネグロ)との試合で、2-6, 2-1と逆転しかけたところで、試合を棄権して敗退してしまった。