4時間の死闘を制し、2度目の決勝へ |
26連勝で記録が止まったフェデラー |
画像提供:Getty/AFLO |
(オーストラリア、メルボルン)
木曜日のナイト・セッションで行われた男子準決勝のM・サフィン(ロシア)対R・フェデラー(スイス)の壮絶な戦いは、サフィンが5-7、6-4、5-7、7-6(6)、9-7の4時間27分の激闘を征し決勝への切符を手にした。4セット目のフェデラーのマッチポイントをしのぎ、5セット目も7回目のマッチポイントでようやく試合をものにするというまさに死闘。サフィンは、これまで向かうところ敵無しだった怪物フェデラーも人の子だと証明した。
第4シードのサフィンの勝利は、昨年のこの大会の決勝で敗れたリベンジを果たすとともに、フェデラーの驚異の連勝記録(昨年アテネ五輪での2回戦敗退以降負け無しの26連勝、2003年10月以来の対トップ10プレーヤー24連勝)にストップをかける結果となった。
「こんなすごい試合をした後は、しばらくゆっくり休む必要があるね。とにかく、体中がアドレナリンで沸きかえってるから、それを抑えないと。」と、試合中のテンションの高さを語った。
第4セットのタイブレークで、昨年3つのグランド・スラムでの優勝を誇るフェデラーは2つのミニ・ブレークをし、5-2とリードしていた。しかし、自分のサーブが2つあったにも関わらず、そこから3ポイント連続で落としてしまった。5-5の時にフェデラーは絶妙なドロップ・ショットで再びマッチ・ポイントを迎える。しかし、ネットへつめたフェデラーに対し、サフィンは巧妙なロブを放ち、両足の間から必死に返すフェデラーのボールがネットにかかり6-6に並んだ。そこから2ポイントを奪ったサフィンが8-6でこのセットを奪い、試合はフィアナル・セットへともつれ込んだ。
第5セットでフェデラーは、1-1の時に2つのブレーク・ポイントをものにできず、第6ゲームのサービス・ゲームでは、30-40でダブル・フォルトを犯し、サフィンにブレークを許した。その後3-5の劣勢で迎えた相手のサービス・ゲームで2度のマッチ・ポイントを免れ、3度目のブレーク・ポイントで、サフィンのバック・ハンドが大きくそれ、ようやくブレークに成功した。
その直後のゲームでフェデラーは、30-0とリードするが、続けざまに3ポイントを失った。再びマッチ・ポイントを迎えたサフィンは、ネットにせまるフェデラーに対しフォア・ハンドのパッシング・ショットを打つチャンスがあったが、それが通らず、次のショットでボレーを決められ、その後も2ポイントをフェデラーが連取し、5-5のタイとなった。
「5-5に追いつけて、自分でも驚いていたよ。彼(サフィン)はサーブも良かったし良い試合をしていて、大分押されていたからね。」と、フェデラーがその時の気持ちを語った。
6-6の時にサフィンはブレーク・ポイントをしのいでキープするが、次のゲームで訪れた2つのマッチ・ポイントを取ることができなかった。
第16ゲーム、フェデラーのサービスゲーム。40-15で6度目のマッチポイントを迎えたサフィンはそこでも試合を決めることができなかった。しかしその後、サフィンがバック・ハンドで鮮やかなダウン・ザ・ラインを放つと、フェデラーはなんとか追いつきボールを返したが、そこで滑ってしまった。そして、大きく空いたコートへサフィンがフォア・ハンドを叩き込み、4時間半に及ぶ大試合に決着をつけた。
二人はネットをはさんで抱き合い、ロッド・レーバー・アリーナを埋め尽くす満員の観客からは惜しみないスタンディング・オベーションを浴びた。
サフィンは「リードから劣勢に回って、その後に勝ち上がるのは厳しいことだよ。精神的にも落ち着きがなくなっているからね。チャンスをものにできなかったわけだからね。そのチャンスを逃すと、他の誰かがそれを先に取ってしまうからね。」と、精神戦を振り返った。
「今日の僕は不思議と落ち着いてて、自分のチャンスを待とうという力が湧いてきたんだ。そしたらチャンスのほうからこっちに来てくれた。4度目のマッチ・ポイントで・・・5度目、6度目だったかな。大分あったね。」
これまでサフィンと7回対戦して、6度勝利しているフェデラーは「本当に残念な試合だった。プレッシャーのなかでもいいプレーができたと思っている。でも、一つ一つのポイントでリズムが行ったり来たりしていた。負けたのは悔しいけど、全力は尽くした。」と心境を語った。
「いつもプレッシャーを感じつつ日々を送っているよ。この試合も同じさ。今日の試合もいつもと同じように挑んだよ。サフィンは世界のベスト・プレーヤーの一人だし、これまでも、幾度と無く良い試合をしてきたしね。もちろん、今日も勝とうとしてたよ。そう、これまでの試合と同じようにね。」と加えた。
この日が25歳の誕生日だったサフィンは、金曜日に行われるもう一つの準決勝の勝者と決勝を争う。その準決勝は、第2シードのA・ロディック(アメリカ)と第3シードのL・ヒューイット(オーストラリア)の対戦である。サフィンは2002年にも決勝へ進出しているが、その時はA・アガシに敗れている。彼の持つ唯一のグランド・スラム・タイトルは2000年のUSオープンだ。
「決勝には良い体調で挑みたい。だって、ここで世界1のフェデラーを破ったからと言って、決勝で有利になるってことじゃないからね。ロディックも体調は良さそうだし。もしヒューイットが勝ち上がって来たら、観客を味方に付けての決勝になるからね。相手がどっちでも、簡単には勝てないってことだね。」と、決勝へ向けての気持ちを語った。