第49回 テニスプレーヤーの年末年始の過ごし方
元旦から試合をすることも。テニスプレーヤーにお正月はありません! みなさんはどんな年末年始をお過ごしですか? テニス界では、年が明けたらもう新しいシーズンが始まっています。私は開幕1週目の大会から出ていたので、正直、お正月らしいお正月は過ごせませんでした。元旦から試合をしていたこともありましたね。大晦日に試合があって、そこからシーズンが始まったことも。その試合で負けてしまって、「来年、どうなるんだろう?」という気分になって。翌日、「あけましておめでとうございます」と言いながら、すごく暗くなってしまったり(苦笑)。そんなお正月もあるし、まあ、ある意味、お正月はないと言ってもいいですね。 そこがテニスプレーヤーの過酷さでもあるのですが、私が感じていたのは、どれだけ長くやっても(私は17年間、現役を続けたのですが)人生のほんの一部分だと思うので、そういうお正月の過ごし方があってもいいんじゃないかなと。だから、それを丸ごと楽しむようにしていました。 海外の風習としては、クリスマスを盛大にお祝いして、新年は「ハッピーニューイヤー!」と挨拶するくらいで、日本のようにお祝いしないところもありますね。お正月と言っても日常の延長なのですが、とは言っても、シーズンが始まるわけですから、選手はみんな新たな気持ちで臨んでいたと思います。 私も1月1日には「今年はこうしたいな」と年頭の目標を立てたりしていました。やはり日本人だからなのか、新年というとすごくフレッシュな気分になって、気持ちを新たにしていました。12月中にシーズン最初の遠征に出発するのですが、出発の前日など、遠征の荷物をパッキングしているときに、「シーズン始まるぞ!」と、少しずつ気持ちを高めていくというようなこともありましたね。 日本は寒い時期ですが、私たちはオーストラリアやニュージーランドで、男子はオセアニアとアジアや中東など、暖かいで所でシーズンが始まります。オーストラリアは日本食レストランも結構多いので、おせち料理というか、それらしきものをいただいて、お正月気分に浸ることもありました。 年末年始も完全に試合モードなのですが、それでも大晦日には「今年の打ち納め」なんて言いながら練習して。元旦は「初打ち」ですね。練習の1球目は「ネットしないように」というので、いつもよりちょっとだけ緊張したり。 そういうツアー生活でしたから、現役が終わったら、紅白歌合戦でも見ながらのんびり過ごすのかなと思っていたのですが、ありがたいことに、現役引退の年は紅白歌合戦に審査員で呼んでいただきました。元旦から着物を着てテレビに出たり、想像していたのと逆の側に回ることになって。それでも、毎年そうやって過ごせるわけでもありませんから、とても貴重な経験だったなと思います。 1年前のお正月は比較的のんびり過ごすことができました。箱根駅伝を見て。駅伝を見ながらうとうとしたり、寝正月ですね(笑)。そんなお正月は、初めてだったかもしれません。
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