Ai Sugiyama
Vol.2フォアには課題が残るが、バックは世界でも一級品
杉山愛については、グラウンド・ストロークの場合と同様、バックハンドは一流だが、フォアハンドには少し課題が残るという図式が、そのままリターンにも当てはまっている。
バックの場合は、特徴はバックハンド編での解説の通りだが、もっとも力の入る打点でボールをとらえられており、フラットに近いスピードのあるリターンを安定して打つことができる。また、体重移動の仕方に関して、身体が前に流れないように、踏みこんで止めるということを意識しており、踏みこんだその場でギュンと身体を回して振り抜く打ち方を理想としている。下の連続写真は、それがよくできている例だと言える。
フォアは少し食いこまれ気味
フォアのほうは、ここでは連続写真がないが、本来の理想的な打点よりも少し遅れたところが自分の打点として定着していて、それをなかなか修正できないため、やや食いこまれた感じでラケットが上に抜けてしまう傾向がある。これが、あとわずかに打点を前にとって、前に(最終的には左肩に)振り抜けるようになれば、もっとリターン力も上がるはずだが、技術的な完成度の高いプロにとっては、こうした部分を修正するのは時間もかかるし、リスクもあるため、アマチュアのように簡単にはいかないのだ。
杉山愛の厚い当たりのバックハンド・リターン
コンパクトなテイクバックから、完璧な打点でボールをとらえ、厚い当たりで攻撃的に打った例。よく見ると、クレイステルスの動作と非常によく似ており、一流の両手打ち同士には共通点が多いことがわかる。唯一の目立つ違いは、杉山のほうがテイクバックが小さいことだが、だからといって杉山がパワーで見劣りするわけではない。
(テニスジャーナル 2004年9月号)
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