重要なお知らせ |
WTA Tier2 オーストリア、リンツ |
『ペトロワ、悲願の初タイトル!』
ついに悲願の初優勝を決めたペトロワ |
画像提供:Getty/AFLO |
すでに世界のトップ・プレーヤーの仲間入りをしていた23歳のN・ペトロワ(ロシア)は、どうしても手にすることができなかった“優勝”の二文字をついに手中に収めた。
第3シードで出場のペトロワは、第4シードのP・シュニーダー(スイス)を4-6, 6-3, 6-1で下し、念願のツアー初優勝を手にした。2003年の今大会では、初めて決勝まで勝ち上がるも杉山 愛(日本)に敗れ、昨年初めのゴールド・コーストの決勝でも杉山に屈していた。今年はコンスタントな成績を残していたが、ベルリン、バンコクといずれもフルセットの末、準優勝に終わっており、優勝には縁がなかった。「この優勝はこれからの自分にとって、価値のある優勝になるはず。来年のツアーへ向けてもっとタイトルを取るための大きな自信になるわ。今シーズン終わりでの優勝で、今年の目標がほとんど達成できたの。安定した成績を残すことと、グランド・スラムでの好成績、そして優勝を上げること。そのすべてを成し遂げることができて本当に嬉しいわ。」と、喉から手が出るほど欲しかった優勝を喜びと共に語った。
シード選手との対戦がなく決勝まで勝ち上がったペトロワは、これまで2勝4敗と苦手なシュニーダーを相手に、初優勝のプレッシャーからか決勝では第1セットを落としたが、優勝への執着心がついに勝利をよんだ。これでランキングを9位へと上げ、ツアー最終戦を賭けたチャンピオン・レースでもV・ウィリアムズ(アメリカ)を抜いて8位へと浮上し、その出場権利を獲得した。また、今季52勝をマークし、今シーズンの勝ち星のトップ5入りを果たした。トップはK・クレイステルス(ベルギー)の66勝になっている。
シュニーダーは今季3度目の栄冠を獲得できず準優勝に終わったものの、これでランキングは1999年1月に記録した自己ベストの8位タイへ上がり、チャンピオン・レースでも7位と最終戦出場を決めた。準決勝のA・イバノビッチ(セルビア・モンテネグロ)からの勝利が今季57個目の勝ち星となり、シュニーダーは勝ち数でペトロワを抜いている。
日本人では杉山と浅越 しのぶ(日本)がエントリーし、浅越は1回戦で敗退、杉山は準々決勝まで進んだが、K・ペシュキ(チェコ共和国)にフルセットで敗れた。そのペシュキは、2000年に自己最高位の33位をマークするもしばらく怪我でツアーを離れていたが、今大会1回戦ではV・ズヴォナレーワ(ロシア)、2回戦では第2シードのE・デメンティエワ(ロシア)と上位選手を下しての勝ち上がりで、トップ10プレーヤーからの勝利は、実に5年前の今大会でN・トージアを破って以来となった。ランキングは31位と自己ベストを更新させた。
ダブルスではG・ドゥルコ(アルゼンチン)&ペシュキ組が、第2シードのC・マルティネス(スペイン)&V・ルアノ=パスクアル(スペイン)組を6-2, 6-3で下し、このペアーで初めての大会で優勝を上げた。ノーシードのドゥルコ&ペシュキ組は、準々決勝でトップ・シードのC・ブラック(ジンバブエ)&R・スタブズ(オーストラリア)組を、準決勝で第4シードの杉山&D・ハンチュコバ(スロバキア)組を下しての堂々の優勝だった。
WTA Tier3 ベルギー、ハッセルト |
『クレイステルス、今季9つ目のタイトル。 』
今季9タイトル目を獲得したクレイステルス |
画像提供:Getty/AFLO |
トップ・シードのクレイステルスが第3シードのF・スキアボーネ(イタリア)を6-2, 6-3で破り、今季トップとなる9タイトル目を獲得した。
立ち上がりこそ不安定で、いきなりサービスをブレークされたクレイステルスだったが、その後本来の動きを取り戻し、スキアボーネをストレートで下して、対戦成績を8戦全勝とした。「今日は自分のプレーが十分できたわ。実家にいながら試合ができるし、友達も応援に駆けつけてくれるなんて、この大会は最高だわ。」と、母国での優勝に感無量のようだった。
今大会1セットも落とさず、各セットで与えたゲームも3ゲーム以下と、完璧な戦いを見せたクレイステルスは、この優勝が自身30回目となり、優勝回数でA・サンチェス=ビカリオ(スペイン)を抜き史上13番目となった。1シーズンで9回もの優勝を上げたのは2003年の自身の記録以来で、1997年のM・ヒンギス(スイス)の12回に次ぐ好成績である。加えて、今シーズンの成績も66勝7敗とシーズン・ベストを記録した。
今季すでに2度クレイステルスに敗れているスキアボーネは、なんとかその雪辱を晴らし、自身初のツアー・タイトル獲得を狙ったが、力の差を見せつけられる結果となった。決勝の前日に行われた準決勝で、M・クライチェック(オランダ)相手に4-6, 6-3, 7-5の接戦を演じていた彼女は「決勝まで来られたのは満足しているけど、昨日の試合の疲労が残っていて、今日はベストのコンディションではなかった。クレイステルスと対戦するのにこんな状態じゃ勝ち目はないわね。」と、力及ばずだったことを認めたが、同時に来シーズンへ自信を深めていた。ランキングを自己最高位の14位に上げる好調さでシーズンを終えるが、ペトロワが今週初優勝を上げたため、トップ20にいる選手で優勝経験がないのはスキアボーネのみとなった。
16歳のクライチェックは地元の期待に答え、自身初のティア3でのベスト4入りを果たし、準々決勝ではスキアボーネに敗れたものの大接戦を演じる実力を見せた。ランキングも自己最高位の58位に上昇させた。
ダブルスでは第2シードのE・ロワ(フランス)&K・シュレボトニック(スロベニア)(スロベニア)組が、6-3, 6-4でクライチェック&A・サザヴェイ組を下し、このペアーで今季3度目の優勝を勝ち取った。ロワはこれが今シーズン6個目のタイトルで、これはS・ストザー(オーストラリア)と並び今季最高のダブルス優勝回数で、シュレボトニックはこれが4度目のタイトルとなった。
ATP International Series スイス、バーゼル |
『ゴンサレス、単複ダブル優勝!』
単複優勝を決めたゴンサレス |
画像提供:Getty/AFLO |
F・ゴンサレス(チリ)は、6月のハーレのR・フェデラー(スイス)以来となる、シングルス、ダブルスのダブル優勝を果たした。
シングルスの決勝でゴンサレスは、予選から見事に勝ち進んで来たM・バフデイティス(キプロス)を6-7(6-8), 6-3, 7-5, 6-4の2時間59分で下した。第1セットのタイブレークでは、自身に2度あったセット・ポイントを取ることができず、競り負けで落としたが、2セット目以降強気のプレーで逆転に成功した。鍵は第3セット。4-2とリードしていながら3ゲームを連取され4-5と劣勢に立たされたが、そこで集中力を高め3ゲーム連取に成功し一気に流れを掴んだ。「とてもタフな試合だった。第1セットはかなりの接戦で、セット・ポイントも結局取れなかった。その直後は、正直疲労感があったけど、自分のプレーに自信を持っていたから逆転できたんだ。最後はちょっと緊張したけどね。」と試合を振り返った。
この優勝で最終戦へのチャンピオン・レースでも7位のN・ダビデンコ(ロシア)に56ポイント差、8位のM・サフィン(ロシア)にも8ポイント差と、その出場へのわずかな可能性が残された。
予選から快進撃で決勝へ進出してきたバフデイティスは、出身国のキプロスからATPツアーの決勝へ進出した初めての選手となったが、そう簡単には初優勝を手にすることはできなかった。「今週はたくさんの試合をしてきたし、第1セットですべてを出し尽くしてしまった。本当に辛かったけど、最後まで諦めずにボールに食らいついた。だから何も後悔なんかしてないさ。」と、全力を出し切っての敗退に満足感さえ感じているようだった。
バフデイティスは、東京でのベスト8と全豪オープンの4回戦でフェデラーに敗れたのがこれまでの主な成績だった。今大会では2回戦で第8シードのT・ハース(ドイツ)、準々決勝ではこれまで3年連続で決勝へ進んだ第2シードのD・ナルバンディアン(アルゼンチン)をストレートで下していた。「ほとんどのプロ選手は、世界1位になりたいとかグランド・スラムで優勝したいとかって思っているけど、自分にとっては夢の話さ。僕のゴールは楽しくテニスができることなんだ。」と、謙虚に自分の力を分析していた。
今大会の1回戦でイギリスの新旧対決が行われた。第6シードでベテランのT・ヘンマン(イングランド)と、主催者推薦で出場のA・マレー(イングランド)との対戦だ。結果はマレーが自分のヒーローたるヘンマンを6-2, 5-7, 7-6(7-4)の接戦で倒し、今後のイギリス・テニス界を占う結果となった。そのマレーは準々決勝でゴンサレスにフルセットで敗れた。
ダブルスでもA・カイエリ(アルゼンチン)と組んで決勝へ進んだゴンサレスは、第4シードのS・ハス&W・ムーディ(南アフリカ)組を7-5, 7-5の1時間26分で退け、優勝を勝ち取った。カイエリとゴンサレスはこれが2度目の大会で、前回はウィーンでベスト8入りをしていた。今年のウィンブルドン・チャンピオンであるハス&ムーディ組はこれが2度目の決勝戦だった。
ATP International Series ロシア、サンクトペテルブルク |
『ヨハンソン、今季初の栄冠。』
キーファーを下し、今季初優勝のヨハンソン |
画像提供:Getty/AFLO |
第2シードのT・ヨハンソン(スウェーデン)が、第5シードのN・キーファー(ドイツ)を6-4, 6-2の1時間35分で下し、今季初優勝を獲得した。
序盤は両者譲らぬ展開から、第1セットの第7ゲームでブレークしたヨハンソンがリズムを掴み、第2セットも2度のブレークに成功し、最後はこの試合10本目のサービスエースで試合に終止符を打った。「今日の試合はスコア以上だったよ。6-4, 6-2のスコアは簡単な試合に見えるけど、内容はかなり厳しい試合だった。キーファーは信じられないようなショットを放ってくる選手だからね。」と、内容的にかなり高レベルな決勝戦だったことを語った。
30歳のヨハンソンは1年振りの優勝となった。自身12回目の決勝戦だったが、今季は5大会で準決勝進出を果たしながら、なかなか自身9回目の優勝にたどりつけなかった。この2人はこれまで6回対戦し、3勝3敗と力は均衡していた。「今年は最高の年だった。2002年に全豪オープンで優勝しているけど、今年が一番安定した年だったよ。ベスト4入りした試合もいくつかあったし、こうしてシーズン終盤で優勝できたしね。」と、今年の自分のテニスを高く評価していた。
28歳のキーファーは、5年振りの優勝を狙っていたが叶わなかった。2週間前のモスクワでの準優勝に続き2度目の決勝進出だったが、自身7度目の優勝とはいかず、それどころか決勝戦での連敗を9に更新してしまった。「本当にがっかりだよ。まったく試合にならなかった。今週は良いプレーができていたのに、それを決勝で出すことができず、ミスの連発だった。ブレーク・ポイントを何度も掴んだのに、そのチャンスをまったく活かせなかった。それじゃ勝てるわけないさ。」と落胆の色を隠せない様子だった。
今大会で台風の目になったのはR・ヴィクだった。1回戦でいきなり第6シードのJ・ニエミネン(フィンランド)をストレートで下し、準々決勝では前年度覇者で第4シードのM・ヨージニ(ロシア)を1-6, 6-4, 6-2で破る殊勲を上げ、見事ベスト4入りに成功した。
ATP International Series フランス、リヨン |
『ロディック、今季5度目の優勝。』
トップシードの意地を見せたロディック |
画像提供:Getty/AFLO |
第1シードのA・ロディック(アメリカ)が、フランス期待の若手G・モンフィス(フランス)を6-3, 6-2の1時間で一蹴し、自身20個目のタイトルを獲得した。
経験豊富なロディックの圧倒ぶりは揺るぎなかった。絶好調のサービスを武器に決勝でも9つのエースを奪うなど、今大会では1度もブレークを許さず、51ゲーム連続サービス・キープを記録し、トータルで70個のサービスエースを放った。「今日はベストなプレーができた。変なミスもしなかったしね。今シーズンの最高の試合の1つだよ。試合の序盤でブレイクを奪って、その勢いのまま試合を進めることができた。モンフィスは才能溢れる選手。これからのフランスを背負って立つだろうね。」と、完璧な試合ぶりを実感していたようだ。
この優勝で、第1シードが決勝戦で勝利した連勝記録を26に伸ばした。ロディックの今季成績は56勝13敗、今大会の1回戦での勝利が通算300勝目となった。「ここリヨンでのプレーを楽しむことができた。どの試合にも多くの観客が来てくれたし、みんなテニスをよく知っている。たとえ地元の選手と対戦しても公平に応援してくれて、とても素晴らしいと感じたよ。」と、決勝を含む5試合中4試合でフランス人との対戦だった今大会を気持ちよくプレーできたことを語った。
19歳のモンフィスは、今年8月以来2度目のタイトル獲得とはいかなかった。1ヶ月前のメッツでの決勝でもI・リュビチッチ(クロアチア)に敗れているモンフィスは、「決勝で満足のいくプレーができなかったのは、これが3回目だ。決勝へ勝ち上がったことで、ある程度満足してしまうんだ。だから勝つために必死になれない。」と今後の課題を語った。
今大会は8人のシード選手中、6人が2回戦以前で姿を消す波乱含みの大会となった。そんな中、地元の声援を受けノーシードからベスト4入りしたフランス人がいた。S・グロージャンとF・サントロ(フランス)だ。グロージャンは2回戦で第5シードのT・ロブレド(スペイン)を破って勝ち上がったが、モンフィスを前にストレートで敗れた。サントロは1回戦でT・デント(アメリカ)、準々決勝ではV・スペーディア(アメリカ)のアメリカ勢を下したが、ロディックを前にストレートで屈した。
ダブルスでもフランス勢が活躍した。第1シードのサントロ&M・ロドラ(フランス)組が、ノーシードのJ・コージー&R・バッセン組を6-3, 6-1で破り、地元優勝を上げた。これが今季3度目のタイトルとなったこのペアーは、最終戦のマスターズ・カップ出場へは6位と出場の可能性を膨らませた。
11位までいったファリーナ=エリア |
ベルギー代表も務めたカレンス |
画像提供:Getty/AFLO |
先週お伝えしたM・マレーバ(ブルガリア)の引退に続き、先週の大会を最後にテニス人生に終止符を打った選手がいたの。S・ファリーナ=エリア(イタリア)とE・カレンス(ベルギー)。両者ともそれほど華々しい選手生活とは言いがたいかもしれないけど、その功績は大きかったの。
33歳のフェリーナ=エリアは16歳でプロ・デビューしたけど、20歳までトップ100入りもできず、その後も50~100位を行ったり来たり。そんな彼女の転機が1999年の結婚だったの。その後はトップ20入りを果たし、30歳にして自己最高位(イタリア人として最高位)の11位になったのも旦那様のお陰みたい。彼女は最後の試合の後に、こんなコメントをしていたわ。「プロになった頃は、自分がこんなに高いランキングにいられるなんて思ってもみなかった。この素晴らしい成績は主人の愛と支えによるものだと確信しているわ。ここ5~6年は特にね。彼がいたからこそ、ここまでやってこられたし、このレベルでプレーができたのよ。」と、ご主人への感謝の意を切々と語っていました。これからはご主人と末永くお幸せに!
それからE・カレンス。現在35歳の彼女は、地元大会のフランス・ガス・スターズでシングルスと、クレイステルスと組んでダブルスに出場してたわね。シングルスでは1997年の43位が最高位、ダブルスでは2001年に12位にまで上がって、これまで10個のタイトルを獲得してたの。シングルスでは活躍していない感じだけど、実はそうそうたる顔ぶれから勝利を上げていたのよ。A・サンチェス=ビカリオ(スペイン)、A・モレスモ(フランス)、M・シャラポワ(ロシア)、A・ミスキナ(ロシア)、N・ペトロワ(ロシア)それにA・モリック(オーストラリア)などなど。これからは地元でテニス・アカデミーを経営してジュニアの育成に努めるんですって。第2の人生でも大金星を上げてもらいたいわね!
ベテランの中には決断しかねている選手もいるの。C・マルティネス(スペイン)。一時期は今シーズンで引退なんて言ってた気もするんだけど、V・ルアノ=パスクアル(スペイン)と組んだダブルスで好成績を残しているこの頃。彼女曰く「いつもそのシーズンが終わってから決めるって言ってるでしょ。今シーズンはまだ終わってないのよ。今の目標はダブルスでの最終戦へ出場すること。それに向けて怪我の治療に専念するのが今一番大事なこと。その間にじっくり今後のことを考えるわ。まだまだやれる自信はあるけど、問題は100%の体調で試合に臨めるかってところなの。テニスを愛してるし、教えるのも大好き。だからその時が来たら自分の持っているものすべてを活かして指導もするわ。でもまだ決断は先ね。」だって。やっぱりシングルスにせよ、ダブルスにせよ、好成績を上げている間は引退したくないわよね
それからリンツで杉山愛ちゃんに勝ったK・ペシュキ選手。誰?若手?と思いきや、なんと30歳のベテランだったの。2000年に33位までランキングを上げたけど、その後2度にわたる左膝の手術で2003年のシーズンはすべて棒に振っていたの。その年に今のご主人と結婚して名前がペシュキになったんだけど、それまではフルドリチコバって言ったのよ。でも、凄くない?そんな大怪我から復活して30歳にして自己最高ランキングを更新してるの。愛ちゃんと同い年よね。その精神力には脱帽。
その日本のエース、杉山愛ちゃんだって、シーズン終盤へ来て“やっと”自分らしいプレーが出てきたって感じよね。昨シーズン・オフの足の怪我から、序盤はなかなか勝ち星を上げられなくて苦しんでいたけど、そんな状態でもトップ30にいられることに彼女自身驚きつつも自信につながっているみたい。これからも、シングルス&ダブルスの二足の草鞋で我々をドキドキ、ハラハラさせてちょうだいね!まだまだ若いもんには負けてられませんわ!!!