DAVID NALBANDIAN |
Vol.2 どんな状況でも自分のボールが打て、あらゆるサーフェスに強い |
打っても打たれても強い |
アルゼンチンのダビッド・ナルバンディアンは、アガシと同様、自分から打つこともできるし、相手の力を利用することもでき、さまざまなサーフェスに対応できるオールラウンドなストローカーと言える。ナダルのようにドカンドカン打つイメージではないが、見た目よりボールの威力があり、調子が良ければアガシとも互角以上に打ち合えるだけの力を持っている。 技術的には、姿勢や軸がつねに安定していて、無駄な上下動も少なく、ミスヒットが非常に少ない選手であり、どんな状況でも、自分のボールが打てる。また、カウンター・ショットもうまいので、返すだけのボールというのが本当に少ない。 |
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ナルバンディアンの高い打点からのハードヒット
ナルバンディアンの場合、インパクト時に右肩が左肩を追い越しているということはなく、ハードヒッターの中では打点が後ろめだと言える。そのため見た目の迫力はあまりないが、身体の回転力はよく生かされており、エースを取れるだけの威力は十分に備えている。
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懐の深さが特徴的 |
フォーム的な特徴としては、インパクトで右肩があまり前に出てこないという点がある(連続写真参照)。つまり他の選手よりも、打点が後ろめなので(そこで安定している)、スウィング・スピードの面では不利になるが、彼の場合はそれを「懐の深さ」=相手からコースを読まれにくいという自分の特徴に置きかえている。 また、ボールを受け止めてから運んでいくような独特の感覚があり、縦のコントロールが良いので浅いボールも少ないし、ダウン・ザ・ラインのコントロールも神業的だ。見てわかりやすい特徴は少ないが、実戦には強く、生で試合を観ると、迫力も十分に感じられる選手だ。 |
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ナルバンディアンの下がりながらのフォアハンド
こちらは深いボールを下がりながら打った場面だが、インパクト前後(4~6)の上半身の形は上とほとんど変わっておらず、顔を後ろに残すこともしっかりとできている。このように、どんな状況でも身体の軸が安定し、自分の打点、自分の体勢で打てることも彼の強みだ。
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(テニスジャーナル 2005年11月号) © SKI Journal Publisher Inc.
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ダビッド・ナルバンディアン研究編 一覧
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