SERENA WILLIAMS |
Vol.3 フォアハンドの裏返し的な両手打ち |
女子に多いラケットを寝かすタイプ |
ここではセリーナ・ウィリアムズをラケットを「寝かすタイプ」の代表としてピックアップした。このタイプは「左手のフォアハンド」という感覚に近く、バックでもフォアと同じような感覚で強打することができる。力の配分としても左手が主体で、右手はパワーよりも面のコントロールで大きな役割を果たしている。
女子で両手打ちの選手は、ほとんどが寝かすタイプであり、現在は、男子選手も含めてこちらのほうが圧倒的に多数派となっている。そんな中で、セリーナの両手打ちバックは、身体能力の高さもあるが、技術的にも完成度が高く、攻撃力では今も女子のトップクラスにある。 |
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寝かすタイプはフォアに近い感覚
ラケットを「寝かすタイプ」は、フォアでいうと少し厚めのグリップ(セミウェスタンぐらい)の感覚に近い。だから、女子ではフォアの裏返しでバックを打つようなイメージの選手も多い。ただ、グリップが厚めといっても、両手打ちではフォアよりも打点が後ろになるので、ボールをよく引きつけることは十分に意識しよう。 |
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ボールをつぶして打つような感覚 |
彼女の両手打ちの技術的なポイントは、基本通りボールをよく引きつけ、写真上のように、正面からまともにボールをとらえて引っぱたくところにある。ボールを思いきり「つぶして打つ」ような感覚とも言える。インパクトでは、左腕でしっかりとラケットを支えているため、ボールに負けるという心配はない。
そうした感覚は、両手打ちで強いボールを打つために欠かせない条件となる。両手打ちの場合、スウィング・スピードには限界があるので、当たりがかすれてしまったら(当たりが薄くなったら)、スピードのあるボールは打てないからだ。
またセリーナの場合は、スクエアに踏みこんでも、オープンスタンスでも、どちらも同じように強く打てることも大きな強みと言える。とくにオープンスタンスの両手打ちは、バランスをとることがむずかしく、体幹のひねりを使って効率良くパワーを出すことは簡単ではない。そのあたりも、彼女の動きを参考にしながら、自分なりに繰り返し練習してみると良いだろう。
とういうわけで、セリーナの両手バックは、攻撃にも守備にも強く、女子選手のスタンダードとして、アマチュアもぜひ目標にしてほしい。 |
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オープンスタンスで体幹のひねりが十分に使えている
フォアに近いということもあって、オープンスタンスでしっかり打てるという技術も欠かせない。セリーナの場合、オープンスタンス時には、このように大きな体幹のひねりを作って、回転力を生んでいる。左足のつま先を前に向けている点も、ひねりを作りやすくするコツと言える。 |
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S.ウィリアムズのオープンスタンスからの両手バック
このように少し走らされた状況でも、オープンスタンスで踏ん張って強いボールが打てることは、ラリーの中で大きなアドバンテージとなる。4~7にかけて上体がしっかりと回転し、十分に前を向いてボールをとらえており、身体の使い方もフォアハンド的と言える。ただし、打点はフォアよりもかなり後ろで、身体の回転量もフォアよりは少ない。
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(テニスジャーナル 2005年12月号) © SKI Journal Publisher Inc.
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セリーナ・ウィリアムズ研究編 一覧
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