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天才ナダルのパワフルなバックハンド |
画像提供:Getty/AFLO |
(フランス、パリ)
全仏オープン5日目、男女シングルス3回戦が行われた中で、最も注目された天才対決(両者共に18歳、183センチ)は、R・ナダル(スペイン)が6-4, 6-3, 6-2のストレートで地元フランスの天才R・ガスケ(フランス)を容赦なく叩きのめし、ベスト16入りを果たした。ガスケはナダルのパワー、技術とスタミナになすすべもなく一方的に敗れた。
この日は最高気温33度にも昇る酷暑で、暑さ慣れしているナダルにとってはそれも幸いしたのかもしれない。第1セット第1ゲームでいきなりのブレイクを奪ったナダルはそのままサービスをキープし、第1セットを手中にした。第2セットではあれこれ工夫を見せたガスケだったが、ナダルの強烈なスピンショットの前に凡ミスが連発し、流れを変えることはできなかった。第3セットでは、暑さにやられ動きが鈍くったガスケにもう勝ち目はなかった。
ナダルは試合後「思ってたより簡単に決着がついた。まさかストレートで彼を下せるとは思っていなかった。」と幾分拍子抜けした様子。「二人ともプレッシャーが重くのしかかっていたけど、彼自身も言っていたように彼の方がよりプレッシャーを感じていたんだと思う。それ以外にも、今日はとても暑くて、そのせいでボールがいつもより高くバウンドしたので彼もリズムが取りにくかったと思う。その辺が僕に有利だったね。」と語るあたりは試合経験の差が出ていたようだ。
ヨーロッパのマスコミでは、あたかもナダルとガスケが宿敵かのような扱いをしているが、「これはみんなが勝手に言っていることだよ。別に彼だけをライバルと思っているわけではないし、僕らはただ同い年で常に勝つことだけを考えているだけさ。考えていることは皆と同じで、一番になるために頑張っているだけさ。」と牽制した。更に「優勝候補の一角と言われようが言われまいが、これからは試合はもっとタフになる。確かに試合をする度テニスが上達していると感じるけど、もっといいプレーをしても終盤戦では負けることだってある。だから一試合一試合ゲームに集中して勝ち進んで行きたい。」と謙遜した。
一方で、暑さとナダルのスタミナに敗北を喫したガスケは、「ナダルは暑さを全く苦にしなかった。彼の体力にこの暑さ、全くついて行く事が出来なかった。第2セットの途中で半ばあきらめた。彼にはスタミナが切れる気配もなく、確実にリターンをしてきた。」と語り、また、「彼とは同い年だが、僕はまるで自分がジュニア選手で彼が大人の様な気さえした。」と力の格差を感じていたようだ。
「でも今日、センターコートで試合が出来たのは今後の僕にとっては大きなプラスになることは間違いない。まだまだ鍛える所は一杯あるし、今が自分の限界とは思っていない」と明日を目指すコメントを残して、赤土のローランギャロスから去って言った。
ナダルの4回戦の対戦相手は、第16シードのR・シュティエパネック(チェコ共和国)を4時間フルセットの長丁場の末1-6, 6-4, 6-3, 3-6, 4-6で勝利したもう一人の地元の英雄、第23シードのS・グロージャン(フランス)となった。
その他の男子の試合結果では第5シードで昨年度覇者のG・ガウディオ(アルゼンチン)が6-4, 6-4, 6-3でF・マンティヤ(スペイン)を下し4回戦へと駒を進めた。次の対戦相手は、リー・ヒュンタク(韓国)を3-6, 1-6, 5-7で破った第20シードのD・フェレール(スペイン)となった。
V・ハネスク(ルーマニア)が6-3, 6-4, 6-4でL・オルナ(ペルー)との初対決を制し、第18シードのM・アンチッチ(クロアチア)を4-6, 6-7(4-7), 3-6のストレートで破った第10シードのD・ナルバンディアン(アルゼンチン)が4回戦の相手となる。