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第104回 デビスカップ日韓戦に向けて
ここは任せておけ、という頼もしさを感じさせる添田選手、伊藤選手 デビスカップ日本代表は4月5~7日の3日間、東京・有明コロシアムで韓国とアジア/オセアニアゾーン・グループ1・2回戦を戦います。代表は添田豪、伊藤竜馬、守屋宏紀、内山靖崇の4選手です。 残念ながら、錦織圭選手は左脇腹を痛めていることと、個人戦のスケジュールを優先させるため欠場となりました。 個人戦のランキングを見れば韓国チームは「格下」ですが、そういう相手でもまったく油断できないのがデ杯の戦いです。個人戦で当たったら「いいドローだな」という相手でも、この舞台では大化けする可能性があります。それがデ杯の怖さ、そして楽しさでもあります。 いつも書いていることですが、勝って当たり前という状況は選手にとって簡単ではありません。自分で自分にプレッシャーをかけてしまいやすい状況でもあるからです。決して簡単な戦いではないと思いますが、そこは最近、力をつけている日本男子のことですから、しっかりした試合を見せてくれるはずです。 今の男子には勢いがあります。だからこそ、デ杯をうまく使うというと語弊があるかもしれませんが、個人戦にもつながるような、いい対戦にしてほしいですね。 1回戦のインドネシア戦も、格下との戦い方としては立派だったと思います。ああいう戦い方ができたことは、韓国戦の自信になるはずです。内山選手はデ杯初出場でしたが、ダブルスで初勝利を挙げました。国別対抗戦の洗礼を浴びたというか、苦しみながらの勝利でしたが、誰もが通らなくてはいけないところをうまく通り抜けたと感じました。本当にいい経験になったことでしょう。 今回は守屋選手が初めて代表入りしました。彼は昨年の全米オープンで予選を勝ち上がってグランドスラム初出場を果たすなど、力をつけています。決して体格に恵まれた選手ではありませんが、他の男子が持っていないタイミングの早さやしなやかさを持ち、柔らかいテニスができる選手です。 チームの一員としてトップ100プレーヤーの添田選手、伊藤選手と一緒に過ごすわけですから、自分もいけそうだなと手応えを感じたり、自分もこのステージに行きたいなと刺激を受けることが多いと思います。守屋選手には貴重な時間になるでしょう。このデ杯を、一つ上のレベルに行くきっかけにしてほしいですね。 韓国に勝てばワールドグループ入れ替え戦進出が決まります。私は今の日本はアジア・オセアニアゾーンのレベルのチームではないという気がしています。錦織選手を筆頭に添田選手、伊藤選手と強力メンバーがそろい、さらに杉田祐一選手、その下に守屋選手、内山選手と若手が続いています。再びワールドグループで戦っている姿が見たいですし、また、それにふさわしいチームだと思います。 錦織選手はインドネシア戦に続いての欠場ですが、彼が出ないことで大きなチャンスが与えられる選手がいるわけですし、それがチームの底上げにもつながります。 錦織選手自身、アジア/オセアニアは他の選手に任せて大丈夫と思っているところがどこかにあると思います。ワールドグループ復帰を見据えるチームですから、ここは出てほしいというところでは錦織選手も出くるでしょうし、それよりも今は健康でツアーを回ってくれればいいと私は見ています。今はトップ10入りという大きな目標に向かって集中し、さらに実力をつけてチームに戻ってきてくれることが理想だと思います。 添田選手や伊藤選手には負担が増えますが、中心選手としてデ杯でプレーすることで精神的にタフになるし、責任感も出てくるので、二人にとってもプラス面は多いと思います。前回のインドネシア戦でも感じたことですが、添田選手や伊藤選手の「ここは自分たちに任しておけ」と思いが伝わってくるのはうれしいことです。そういう気持ちが持てるというのは、代表チームがうまくいっている証拠ですね。
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