2016年10月17日
前回の準備編【サーブ準備編】まずはスマートテニスセンサーで自分の状態をチェックしようしてみようをご覧いただき、ご自身のフォームとデータをチェックいただけたでしょうか?今回のサーブはご自身の状態を知るのが非常に重要ですのでぜひお願いします。
サーブはゲームを行う時に必ず打つショットですよね。しかしサーブがストロークの中で一番複雑と皆さんも感じていらっしゃると思います。それはサーブがあの一瞬に多くの動きをしなくてはいけないショットだからなのですが、多くの動きの中身をきちんと把握できておらず、かつその必要な動かし方で身体を動かせていないのが複雑だと感じてしまう大きな理由です。
しかし逆説的にはサーブの複雑な動きを一つ一つ分解して、機能的な身体の使い方をマスターしていくことが上達への近道と言えます。ここでは基本的なサーブの動作の各フェーズを解説していきます。
今回の解説編は
良いフォームの仕組みを理解する(チェックポイントをしっかり理解する)パートになります。
サーブは1つのストロークですが、上達にはサーブを分割した以下の4フェーズを把握し、それぞれの身体の動かし方をマスターすることが重要です。
[フェーズ 1] トスアップとテイクバックのリズム
[フェーズ 2] トロフィーポジションからのレッグドライブ
[フェーズ 3] ショルダーオーバーショルダー
[フェーズ 4] ランディング
サーブが苦手だなと思われる方は、この4つのフェーズのどこか(もしくは複数/もしくはすべて)ができていないのですが、その弱点フェーズを把握できていない方も多くいらっしゃいます。
この4つのフェーズをサーブで身体を動かすイメージを持って順に細かく見ていきましょう。
※記載している内容は右利きの場合です、左利きの方は逆をイメージして読み進めてください。
サーブの最初のアクション「トスアップ」でリズムを崩さないことが重要です。
「前→後ろ→前」とリズム良く体を動かしながらトスアップしてトロフィーポジションを完了させましょう。
[第1フェーズのチェックポイント]
[point 1] 頭を左足のかかとの延長上にセットします。その位置がサーブの軸になります。この軸を崩さないように、お尻を後ろに引くようにして後ろに体重を移す。
※後ろ体重にするタイミングで「軸」が崩れると上手なサーブは打てません。「お尻を後ろに・軸をぶらさない」と頭の中で唱えながらやってみましょう。
[point 2] 同時に身体のローテーションが開始されます。そのローテーションと体重移動の勢いを使って自然にトスアップの左腕とラケットを持つ右腕が振り挙げられていく。
※ローテーションと体重移動が先で、腕が挙がるのが後です。先に腕を挙げようとするとせっかくpoint1で意識した軸が崩れてしまいます。自然と腕が挙がるように「身体のひねりと体重移動」をまず心がけてください。
[point 3] 軸の頭上(まっすぐ上)にトスアップされてから、フットアップ(体重を前に移動)していく。またラケットをもつ右腕は、肩のラインが決まると自然に肘が曲げられ、ラケットが立った状態で、トロフィーポジションが完了する。
※プレイヤー目線でもわかるように、トスはpoint1とpoint2でキープした軸上のまっすぐ上を目標にして挙げられます。それを追うように左腕をまっすぐ真上にキープされます。つまりpoint1~point3で一直線の軸が完成します。point1やpoint2で軸がぶれてしまうとpoint3で軸は完成しませんので注意しましょう。
※トスアップと自然な体重移動によって左肩が高く、右肩が低い肩のラインが完成しているはずです。また右腕は肘が自然と曲がっているはずですが、このタイミングでラケットは立っているか確認しましょう。手首が折れてラケットが寝ていると次のフェーズで遅れがでてしまい美しいサーブになりませんので注意しましょう。
[最近よく聞かれる質問] スタンスは「足を揃えるタイプ」と「足を揃えないタイプ」がありますがどちらが良いですか?
[中山コーチの回答] 科学的データにおいては、足を揃える・揃えないでサーブの優劣は出ていません。ご自身のトスアップとテイクバックからの力を出すタイミングが取りやすい方、トロフィーポジションでのバランスが保ちやすい方などを考慮して選択してください。
▼足を揃えないスタンス
▼足を揃えるスタンス
レッグドライブとは、曲げた両足を伸ばすように地面を蹴る動きです。レッグドライブは膝を伸ばしていくだけですが、次のフェーズへの準備段階でもあり、サーブにとって重要な第2フェーズです。
[第2フェーズのチェックポイント]
レッグドライブ(曲げた両脚を伸ばすように地面を蹴る動き)、「トスアップして伸ばした左手をたたむように脇を締める動き」、「ラケットを振り出して行く動き(肩甲骨の入れ替え動作・立っていたラケットが地面を指すような状態になる)」を同時に行うように意識しましょう。
真上に突き上がって行くようにレッグドライブを行うと、他の2つの動作も同時に上手く働きやすいです。そのためにはトスが頭上に上がることが条件になります。
一度に複数やろうとすると焦ってしまうかもしれませんがその必要はありません。タイミングがつかめるまで繰り返し意識してやってみましょう!
ショルダーオーバーショルダーとは、レッグドライブによって上体を真上に持ち上げた後にラケットを持っている右肩を「縦に」回転させて、左右の肩の上下位置が入れ替えることです。
[第3フェーズのチェックポイント]
[point 1] トロフィーポジションの時に肩のラインに落差をつける
※フェーズ1でも説明した内容ですが、このタイミングでも「トスアップした左肩が高く、ラケットを持つ右肩が低い状態」になっているかチェックしましょう。
[point 2] 両足のレッグドライブによって、一度上体を真上に持ち上げ、そこから肩を縦に回転させる
※トスアップのタイミングでは「右肩の高さ < 左肩の高さ」でしたが、写真2枚目のタイミングでは「右肩の高さ >
左肩の高さ」になっています。これが非常に重要ですが、これを実現するには、胸を中心に右肩が左肩の上に覆い被さるように縦回転するイメージを持ってください。
[point 3] インパクトの瞬間はラケットを持つ右腕と左足が一直線になっているか(パワーラインができているか)
※サーブを狙った方向に打つためには、これまでキープした身体の軸をぶらさず、インパクトのタイミングで狙った方向に向けておく必要があります。つまり軸足となる左足のつま先と、ラケットを振り抜く右腕が同じ方向である必要があります。ここでラインが一直線だとパワーが伝わる良いサーブになります。
[point 4] インパクト後のラケットの自然な落下でプロネーションが起こるか
※ラケットを持っている右腕の手のひらがインパクト直前までは打球の方を向いた状態から、インパクト後にはラケットを持つ右手親指が内側に入っていくようにひねられる(前腕が内旋していく)ことができているかを確認してみてください。
これまでの第1フェーズから第3フェーズまでのそれぞれの動きの評価がこの第4フェーズになって初めてできます。打ち終わった後にボールの状態だけではなく、以下の2つのチェックポイントを確認してみましょう。
[第4フェーズのチェックポイント]
[point 1] 左足つま先の方向や頭の位置が狙った方向に向いているかどうか
きちんと向いていれば、トスも正しく上がり(フェーズ1)、肩も縦に回転され(フェーズ3)、打ちたい方向にしっかり体重移動できた証拠です!
[point 2] 後ろ足(右足)の蹴りがまっすぐになっているかどうか
後ろ足がまっすぐになっていれば、「ショルダーオーバーショルダー(肩が縦に回転)」(フェーズ3)ができていた証拠です!
[tips チェックポイント]
[tips 1] トスのピークから30cm~60cm落ちたところが一般的にインパクトポイント
[tips 2] インパクトの高さは立っている時の約1.5倍(身長が170cmの方は255cmがインパクト位置)
トスは285cm~315cmくらいまで上げるようにイメージ
各フェーズでどのような動きをすれば良いのかをイメージしていただけたでしょうか。
[フェーズ 1] トスアップとテイクバックのリズム
[フェーズ 2] トロフィーポジションからのレッグドライブ
[フェーズ 3] ショルダーオーバーショルダー
[フェーズ 4] ランディング
ここまで読んでいただけた後であれば「ご自身のフォームを把握しておいていただくことの重要性」がご理解いただけたかと思います。ご自身のフォームはどのフェーズが上手くいっていないでしょうか。サーブを1つのストロークとしてイメージするのではなく、どのフェーズがスムーズでないのかを見つけてください。
それはスマートテニスセンサーの各種機能を使ってチェックしてみてください。そして上手くいかない動きを上達に向けて、動画とデータを使ったドリルを体験してみましょう!
次回からは各フェーズにおいてみなさんが陥りがちなポイントを改善するための上達実践ドリルをお届けしますのでお楽しみに!