今シーズン最大のニュースの1つと言えるのがウィンブルドンでの
A・マレー(英国)の優勝。
フレッド・ペリー以来となる77年ぶりの地元イギリス選手のタイトル獲得に、イギリス全土が大いに沸いた。
しかし、その優勝までの道のりには準々決勝での
F・ベルダスコ(スペイン)からの4-6, 3-6, 6-1, 6-4, 7-5の大逆転勝利があった。
直前のクレーシーズン中に腰を痛めたマレーは、悲願のウィンブルドン優勝へ向けて全仏オープンを欠場するなど、タイトル獲得へ向けて調整を続けていた。
決勝戦への道が険しいものに見えたドローだったが、同じ山にいた復帰後絶好調の
R・ナダル(スペイン)が1回戦で、これまで7回もの優勝を誇る
R・フェデラー(スイス)も2回戦で敗退する大波乱に見舞われ、マレーの優勝に光が見えた。
万全な体調で臨んでいたマレーは、好調に1セットも落とさず順調な勝ち上がりを見せていた。しかし優勝への道で最大の苦戦となったのが準々決勝のベルダスコとの一戦だった。
当時世界ランク54位でノーシードながら勝ち上がってきたベルダスコは、その好調さを語るように強烈なサーブと得意のフォアハンドでマレーを圧倒。
地元から多大な応援を背にしながらも、思わぬ苦戦を強いられた緊張からか、第1セットは自身のダブルフォルトでそのセットをベルダスコへ献上してしまうなど2セット連続で奪われ崖っぷちに立たされてしまった。
「今日の彼(ベルダスコ)は本当にサーブが良かった。第1セットの終盤は素晴らしいプレーをしていた。第2セットは自分のレベルが下がってしまって、簡単なミスや正しいショット選択も出来ていなかった。」とマレーは2セット奪われた時を振り返っていた。
第3セットはベルダスコの緊張が途切れたところを突いたマレーが奪い返すと、第4セットは再びベルダスコが奮起。ゲームカウント4-3からのマレーのサーブではマッチポイントに等しいと言っても過言ではないブレークポイントを4回も握るもそのチャンス生かせず、続くゲームでこのセット唯一握ったブレークポイントを生かしたマレーがそのセットを奪い返し2セットオールと試合を振り出しに戻した。
そして迎えたファイナルセット。両者全く譲らず、相手にブレークポイントさえ握らせないサービスゲームを披露。一進一退の展開で試合が進むと、ゲームカウント5-5からのベルダスコのサーブでこのセット唯一握ったブレークチャンスを生かしたマレーが続く自身サーブをキープし、3時間27分の末に逆転勝利を収めた。
試合後ベルダスコは「第4セットの4-3からの彼のサーブで掴んだブレークポイントを1つでも成功させられていたら、勝利へのチャンスはかなり大きい物になっていたと思う。」と悔しさをにじませていた。
2009年4月に自己最高位の7位を記録したベルダスコに対してマレーは「彼は本当に良いプレーヤーで、今の彼は数年前にトップ10入りしていた時と同じくらいのテニスをしている。」と言わしめるプレーを見せた。
大きな壁を突破したマレーは再び好調さを取り戻すと準決勝では第24シードの
J・ヤノヴィッツ(ポーランド)を6-7 (2-7), 6-4, 6-4, 6-3で、決勝戦では第1シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)を6-4, 7-5, 6-4のストレートで下し念願のタイトル獲得を達成した。
(記事/弓削忠則)
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