車いすテニスの世界ツアー最終戦にあたるNEC車いすテニス・マスターズが11月16日から20日までオランダで行われ、決勝トーナメントに進んだ日本の斉田悟司と国枝慎吾はそれぞれ3位と4位となった。
今大会は、8人の上位選手が集い、4人ずつ2グループの予選ラウンドに分かれて、それぞれのグループから上位2人ずつが決勝トーナメントに進み、No.1を争う大会だ。日本からは、男子シングルスには、ITFランキング7位の斎田、9位の国枝が、女子シングルスは、同ランキング7位の八筬美恵が出場を果たした。
女子シングルスに出場した八筬は、フルセットにもつれ込む好試合をしたが、惜しくも3敗し、決勝トーナメント進出を果たすことはできなかった。
一方男子では、斉田と国枝の二人が見事予選ラウンドを突破し、ミハエル・ジェレミアス(フランス)とロビン・アメルラーン(オランダ)の強豪2人とともに決勝トーナメント進出を果たした。
予選ラウンドでプール1に入った斎田は、現在ITFランキング№1のジェレミアスに1敗を喫したが、他の2戦は勝利し2勝1敗の2位で準決勝へ進んだ。プール2に入った国枝は、初出場にもかかわらず、ランキング上位選手をストレートで破り、ランキング№2のロビン・アマランには敗れたが、2勝1敗のグループ2位で準決勝へ。
19日に行われた準決勝では国枝がジェレミアスを相手に大熱戦を演じたが、6-3, 5-7, 6-7(3)で惜しくも敗れた。
21歳とまだ若い国枝は、第1セットでいきなり5-2とリードすると、リズムを落とさずそのまま6-3でセット先取。
第2セットでもその勢いで4-1のリードを奪うが、そこからが世界No.1の底力で、ジェレミアスは焦らず丁寧にポイントを重ねつつ、プレーのレベルを上げていくと、4-4に追いついた。互いにブレークし合って5-5となった後は、母国からかけつけた応援のおかげもあり、ジェレミアスが7-5で第2セットを奪い返した。
第3セットでもスピードとショットの正確さで圧倒する国枝がリードし4-1に。その後粘るジェレミアスは、挽回を果たすものの、先にマッチポイントに到達したのは国枝だった。しかし、5-4で得た6回のマッチポイントを国枝は決めることができず、5-5のタイに。そしてとうとうタイブレークに突入したが、最後は経験豊かなジェレミアスの精神的な強さが勝敗の分かれ目となった。
試合後に自分のメンタルな強さこそが武器だと再認識したと言うジェレミアスも、この試合は「自分のキャリアで一番の接戦だった。今日は慎吾と僕、二人ともが勝者だ。」と国枝のプレーをたたえていた。
準決勝のもう一試合では斉田対アメルラーン戦が行われ、シーソーゲームとなったが、結局アメルラーンが6-1, 2-6, 6-3で勝った。出だしから絶好調だったアメルラーンに一度は押されてしまったものの、斉田は第2セットで気合の入れなおしに成功したが、最後は集中力をさらに高めたアメルラーンのウィナーが連発した。
その結果、20日の決勝はジェレミアス対アメルラーンとなったが、昨年の準決勝での雪辱も果たすべく挑んだアメルラーンが6-2, 6-3で完勝して優勝を決めた。
一方斉田と国枝は3位決定戦を行い、接戦となったが経験で勝る斉田が7-5, 6-4で国枝を下した。
マスターズ決勝での、夢の日本人対決なるかと期待されたが、その実現は次回以降へ持ち越しとなった。しかし、世界で4名のみが進出できる、マスターズの決勝トーナメントに、斎田、国枝の2名が入ったことは、日本の車いすテニスのレベルの高さを証明したといってもいいだろう。
世界トップレベルのプレーを見にいこう!
11月25~27日、千葉県柏市にある「吉田記念テニス研修センター(TTC)」で「NEC JWTAマスターズ」が開催される。日本国内のトップ8が一同に介し、国内のトップを決するのである。車いすテニスプレーヤーにとって、“マスターズ”に出場することは、大きな目標の一つでもある。
この「NEC JWTAマスターズ」に、世界のマスターズで3位となった斎田と、同じく4位の国枝の両選手が出場する予定となっている。斎田、国枝の直接対決を間近に見られるチャンス! ぜひ、会場に足を運ぼう!!