前回は、車いすテニスにも海外ツアーが存在するということを述べた。しかし、海外のツアーを回るプレーヤーは、やはりごく限られている。ほとんどの選手は、国内のトーナメントに出場して、テニスを楽しんでいる。
そこで今回は、国内の車いすテニストーナメントの現状について触れていこう。
車いすテニスには、一般のテニスの「JTPランキング」や「JOPランキング」に相当する「JWTAランキング」というものが存在する。「JWTAランキングポイント」対象のトーナメントに出場し、勝ち上がるごとに多くのポイントが加算され、ランキングも上がっていくという仕組みは、一般のテニスに共通するものだ。
そのランキングによって、出場できる「クラス」が決められる、というのが車いすテニスの一つの特徴だろう。ランキングが高い順に、「メイン」「セカンド」「Bクラス」「Cクラス」「Dクラス」(主に男子の場合)の「クラス」に分けられる。各トーナメントに定められたドロー数とランキングによって、どのクラスで出場できるかが分かれるのである。
どのクラスで、どれくらい勝ち上がれるか……、それによってその後のランキングにも影響が出る。ランキング上位を維持するためには、上のクラスで勝ち続けなければならない。かなり厳しい世界なのだ。
「JWTAランキングポイント」対象の大会(2005年主要大会スケジュール参照)では、ランキングによるクラス分けがあるため、各トーナメントのエントリーは、だれにでも可能でもある。海外ツアーをこなすトップレベルの選手が「メイン」で、車いすテニスを始めたばかりの人が「Dクラス」で出場するというのは、特別な風景ではない。
各地で行われるトーナメントには、本格的な競技志向のプレーヤーから、レクリエーションとして楽しむために続けている人まで、さまざまな選手が全国から集まる。トーナメント会場で、顔見知りに会えるのを楽しみしている選手も少なくない。
トーナメントは、全国各地で行われている。身近なところで開催される大会を見つけたら、ぜひ一度観戦に行ってみてはいかがだろうか?
(2005.04.06 文と写真:酒井朋子)