世界各国で約140のトーナメントが開催されている。最高峰のSSの一つは、5月に日本で開催される |
車いすテニスにも、海外ツアーというものがある。
ATPツアーやWTAツアーのように、世界各国で車いすテニスのトーナメントが年間約140大会開催されている。世界トップレベルの選手は、そうしたツアーをこなしながら、世界中のツアーを回っている。
車いすテニスのツアーは、国際テニス連盟(ITF)の管轄で運営されている。デ杯、フェド杯やチャレンジャー、ジュニアの大会などと同じ組織によって、統括されているのだ。このように、健常者スポーツと統合された障害者スポーツは、車いすテニスが最初ともいわれる。
車いすテニスの歴史を簡単にひも解いてみると、1976年にアメリカのブラッド・パークによって始められたとされる。その後、車いすテニスは急速な発展を遂げ、1988年には「国際車いすテニス連盟(IWTF)」が設立された。その10年後の1998年1月1日に、IWTFは「国際テニス連盟(ITF)」に統合され、現在に至る。今では、世界中でツアーが開催されるまでに発展した車いすテニスは、まさにプロスポーツといって過言ではない。
世界各地で開催されるトーナメントは、ATP、WTAツアーのように、大会ごとに5つのグレードに分けられる。その最高峰がスーパーシリーズ(SS)と呼ばれる大会である。SSは、一般のテニスでのグランドスラム(四大大会)にあたるものだ。2月に開催されたオーストラリアンオープン、そして5月に日本で開催されるジャパンオープン、7月のブリティッシュオープン、10月のUSオープンの四大会が、車いすテニスにおける“四大大会”である。
このような車いすテニスのツアーが世界中で組まれているのは、何らかのサポートがなくては実現しない。車いすテニスツアーは、正式には「NEC車いすテニスツアー」と呼ばれるように、社会貢献活動の一環として1992年からNECの支援を受けている。
車いすテニスプレーヤーも、ランキング上位を目指して世界中を転戦している。プロのプレーヤーとして、ツアーを回っている選手も数少ないが存在する。そしてその中で、日本のプレーヤーが世界トップレベルで活躍しているのは、前回も触れたとおりだ。
リハビリとして始められる障害者スポーツの一つであった車いすテニスだが、いまではレクリエーションからプロスポーツへと飛躍的に進化していったことが分かる。
次回は、日本国内の車いすテニス事情について触れていく。
(2005.03.24 文:酒井朋子)